2018年10月15日月曜日

羽織を七五三に


お祖母さんの羽織から七五三の着物を作るよう頼まれました。

すでにほどいて洗い張りしてあったので、すぐ取りかかれます。



羽織の前身頃が、こどもの着物では後ろ身頃になります。



こけしの可愛い肩裏をそのまま使います。



羽織の面影を残した、子ども用に変わりました。

大島紬を融通の利かない才媛としたら、鹿の子絞りは偏差値の高いじゃじゃ馬娘。

せっかく付けたしるしが見えにくくて縫いづらいのですが、2、3ミリずれても布自ら修正してくれて、きれいに仕立て上がります。


       七五三鹿の子絞りは祖母のもの     仕立屋お吟






2018年10月11日木曜日

白大島


白大島の単衣の仕立てを頼まれました。

よろけ縞に蔓もの。しゃきっとして爽やかな反物です。



大島は耳の部分が広く、通常の背伏布では心もとないので、共布で作りました。
居敷当も共布が取れました。



織られて年数が経っていないので、やわらかくて衣擦れの音にも艶があります。




        衣擦れの音たてて縫ふ夜長かな     仕立屋お吟




2018年10月7日日曜日

袷を単衣に


お母様の袷の紬を、自分用に単衣に直すよう頼まれました。

薄地のはずの胴裏が厚地すぎて、着づらいとのことでした。

洗い張り屋さんにほどきと湯のしに出しました。



表地一枚になると、驚くほど軽くて、絹の光沢が感じられます。



袖と衿を縫った時点で、布団の下に敷のしします。ぱりっと仕上げるために、どんな着物でもこれは必須です。



手ざわりは結城紬に似ています。お母様にはかなり高価な買い物だったとか。これを着て、寄席や観劇にお出かけされることでしょう。

    
       秋冷のどこで織られし紬かな      仕立屋お吟









2018年10月2日火曜日

久留米絣


久留米絣の仕立てを頼まれました。

厚地の木綿は久しぶりです。



絣といわれて描くイメージとはかなり違い、素朴というより粋な感じです。



ざっくりした風合いなので、出番も多いことでしょう。


     膝に縫ふ久留米絣や秋深む      仕立屋お吟





2018年9月27日木曜日

付下げ


付下げの仕立てを頼まれました。

新潟は十日町の吉澤の友禅です。



今までにたくさんの訪問着や付下げを縫ってきましたが、
しなやかさや針通りのよさや皺になりにくさが群を抜いています。
しっかりした浜ちりめんです。



黒に近い茄子紺の地色に、雪輪の中の七宝や亀甲や鹿の子文様。

古典文様を大切にしつつ、洗練された絵付けです。



依頼者さんは、俳句つながりのお方です。
さて、どこに着て行かれるのでしょう。


       秋袷ちよいと俳句もたしなみて      仕立屋お吟





2018年9月19日水曜日

有松鳴海しぼり


172㎝という長身の方より浴衣の仕立てを頼まれました。

絞りで巾と丈の長いものを、苦労して探されたそうです。



有松鳴海しぼりです。最高の肌触りです。絞りですから、このように、左の普通の巾のものより縮んだ状態で売られています。



洗い張り屋さんで、二度洗いと湯のしをして巾丈を出してもらったら、このように落ち着きました。

1㎝でも長い丈に仕立ててあげたいので、繰越揚げはつまみません。縫い代もぎりぎりに抑えて裁ちました。



なおかつ、左胸には華やかな柄を、上前の衽の膝辺りにもよい柄を、左の衿も寂しくならないように気配りします。



後ろ身頃をご覧ください。たとえば、お尻の部分に左右同じ柄がきては最悪です。そうならないように気をつけます。

着物は左右対称の柄を嫌います。残り布ゼロという条件でも、なるべく粋になるよう柄合わせをします。

なんとか身丈172㎝、裄73㎝の浴衣が出来ました。色白の依頼者さんにお似合いのことと思います。


       縫ひさしの鳴海絞りへ秋の風       仕立屋お吟









2018年9月12日水曜日

七五三の揚げ


七五三の揚げを頼まれる時期がきました。



流水に蝶の文様の可愛らしい着物です。

揚げをほどいて仕舞われていたので、皺が無くて助かります。



七歳なので、肩揚げも腰揚げもつまみ代は少ししかありません。

特に腰揚げは下すぎると野暮ったくなるし、上すぎると大人っぽくなりすぎるので、七歳らしい位置を見極めなくてはなりません。

こんな感じでいかがでしょう?


     大好きな母のお下がり七五三       仕立屋お吟







     

2018年8月26日日曜日

茶事用小物


茶道の先生よりいろいろ頼まれました。

ミシンもセンスも要るので、そういうのが得意な仲間の出番です。

洋服で茶道のお稽古をするとき、懐紙や袱紗をはさむベストがあれば便利とのことで、



羽織をほどいて作りました。右は、残布で作った、ブラウスなどに合わす袷のベスト。



こちらは、紗の着物をほどいて作りました。右は、紗の透け感を生かした少し長めのベスト。



数寄屋袋(上二枚)と袱紗袋も頼まれました。



蓋をするとこんな感じ。

役立ってもらえると嬉しいです。


      飛びさうな紗に描かれしとんぼ柄    仕立屋お吟






      

2018年8月12日日曜日

両面織の単衣


連日、猛暑日が続いていましたが、やっと例年の真夏日に落ち着いたようです(笑)。

頼まれていた、先練御召糸使用の両面織の単衣にかかりました。



茶色が表で、モスグリーンが裏の少し地厚の反物です。不思議ですね、どうやって織られたのでしょう?



仕上がるとこんな感じ。シックな無地の単衣ながら、裾捌きでちらりと衽の裏の色が見えます。


白日傘和服着なれてゐるらしく      仕立屋お吟






2018年7月25日水曜日

仕立て直し


洗い張りされて箪笥に眠っていた大島紬の仕立てを頼まれました。

昔ながらの織機で織られたであろう、やさしい手触りです。

依頼者さんに、紬用のシャリ感のある八掛を買っていただきました。



真夏に袷を縫うのは躊躇しましたが、苦も無く、羽衣のようにかるい一枚が仕上がりました。





人の手で織られし絹の涼しかり        仕立屋お吟

2018年7月12日木曜日

袷を単衣に


袷の小紋を単衣に直すよう頼まれました。

以前は、母が1000円でほどいて綺麗にアイロンかけしていてくれたのですが、

身八つ口の留めをほどくとき、布をほつれさす危険性が出てきたので、洗い張り屋さんに「ときのし」を頼みました。



ちゃんと縫い合わされて反物のかたちになって帰ってきました。湯のしをするとしなやかになります。

しなやかになると、縫いやすくもなります。



流水の地模様に涼しげな植物。屋形船に乗っての、内輪の同窓会に着て行かれるそうです。


        遊船や和服で出向く同窓会    仕立屋お吟






2018年7月2日月曜日

紗の羽織


紗の羽織の丈を伸ばすよう頼まれました。



なるほど、ちょっと短い感じがします。




裾の折り返しがこれくらいあるし、衿の折り返しも多めにあるので、ぎりぎり出せるだけ出すことにしました。




折り返しはこんなに少なくなりましたが、8.5㎝伸ばすことが出来ました。これだけでも、ずいぶん印象が変わりました。

とてもフットワークのよい依頼者さんで、西大寺から電車を乗り継いで取りに来られます。

お天気が良ければ、駅からはレンタサイクルだそうです。


       夏羽織思ひ立つたらすぐ旅に       仕立屋お吟




2018年6月28日木曜日

近江上布


六月は盛夏へ向けての仕立てで、大忙しでした。

近江上布を立て続けに六枚。縫っていて皺になりますが、神経質にアイロン仕上げはしません。

「作れる分だけを丁寧に作り上げる、大量生産にはない職人の手仕事の良さを追求」している呉服屋さんからの頼まれ物です。



お袖を縫って布団に敷きのしするところ。長身の男性の方で裄がとれないので、足し布をしています。

仕立て上がると、再び敷のしします。毎日、何かしら敷のししています。ですから、私は毎日広縁に布団を干します。

灰桜、濃緑、源氏鼠、錆鼠、、、と縫ってきました。化学染料ではない顔料で客の好みの色に染めるそうです。

これは、錆鼠。添えている反物は山葵色。これが縫い終わると、一息つけます。


     上布着て京は男もはんなりと      仕立屋お吟





2018年6月21日木曜日

袷の小紋


袷の小紋の仕立てを頼まれました。



黒と鈍色の大きな縞に細い臙脂が縦に一本織りこんであります。八掛も黒。粋です。



衽に臙脂を持ってきて、衿を黒にするか、




衿に臙脂を持ってきて、衽を黒にするか、依頼者さんと相談した結果、




後者を選びました。やはり、この反物の命である臙脂を顔に引きつけて、正解だったようです。


        黒といふ色の華やぎ夏灯          仕立屋お吟




2018年6月11日月曜日

単衣の身巾直し


単衣の身巾直しを頼まれました。



リバーシブルになっていて、表は閉じた扇子、裏は番傘。裾や袂からちらりと粋が見えます。



身巾を2㎝詰めます。全体で8㎝細めになります。お袖を外して、もの差しの角度で詰めるので、胸回りも細めになります。



この方は細めで170㎝と長身なので、身巾と肩巾の差がとても大きくなり、脇の縫い代のしまつが攣って見苦しくなります。

そこで、写真のように切り目を入れ、細かくかがりました。



藍と白だけの木綿は、大人の味ですね。

この方は薬剤師さんで、「白衣はもう飽きました。」と仰っていました。


    藍浴衣白衣を脱げばどなたかと      仕立屋お吟



2018年6月4日月曜日


絽の仕立てを頼まれました。



桔梗の地模様によろけ縞。



しるし付けをしようと、ヘラ紙に置くと、耳が攣っていることに気づきました。布地が波打っています。



必要な個所に、切り目を入れます。ひっぱって耳を伸ばします。
切り目を入れてはいけない個所もあるので、慎重に。



無難に仕上がってほっとしています。もうすぐ絽の出番ですね。


        縫ひあげし絽や朝まだき海の色      仕立屋お吟





2018年4月29日日曜日

綿麻の単衣


綿麻の単衣の仕立てを頼まれました。



大胆に片側だけに絞りがあります。

柄合わせは、片流れにして、衽に絞りを衿に無地をもってこよう、、、と考えながら反物をほどいていると、



あらら、途中から無地ばかりになりました。

これは斬新。粋なのができるぞ~っと縫っていたら、



はい、この通り、涼やかな一枚となりました。五月になったらすぐ着られるそうです。


        紺地なる単衣に白き絞り染      仕立て屋お吟

2018年4月10日火曜日

袷の道中着


袷の道中着を頼まれました。

長身の方で、長めがお好みですが、
表地が短めの羽尺なので、返りが少なく、通常の一着分の肩裏では足りません。

で、依頼主さんが考えられたのが、長襦袢の反物を買う事。
肩裏に相応しい遊び心満載の柄です。
ボンネットバス・クラシックカー・プロペラ機・汽船、、、




縫いあがるとこんな感じに。
訪問先で脱がれるときは、ちらりとお洒落心が見えるというわけです。



細く見えるように、裾つぼまりに仕立ててほしいということで、
裾で1㎝だけ巾をつめました。




        肩裏に粋がちらりと花衣    仕立て屋お吟