2020年1月16日木曜日

牛首紬


洗い張りした訪問着の仕立てを頼まれました。



牛首紬です。

蒔き糊ちらしで染めた後、友禅染で絵付けをしているようです。



下前のおくみに牛の鼻輪の落款があります。



胴裏が足りないので、継ぎ足しました。



はんなりとした茶色に、渋い柄が素敵な一枚の出来上がり。

   
       針通りよろしき紬日脚伸ぶ     仕立屋お吟


2020年1月4日土曜日

短い反物


袷の小紋の仕立てにかかりました。



矢絣風のウール混です。

見積もると、丈が短くて、希望の寸法が取りづらいことが分かりました。



通常なら繰越揚げをつまみますが、つままずに繰越裁ちに。



袖下の縫い代も2㎝ほどに。

もちろん、衽や衿も切り詰めました。



無事に寸法通りに仕立て上がりました。


     古びざるものに矢絣縫始         仕立屋お吟




2019年12月28日土曜日

単衣


単衣の仕立てを頼まれました。



こちらの渋い紫の紬、

依頼者さんが、値段の割にとてもいい紬みたいと思いながら、

キズや染みがないか反物の中の方まで調べていたら、

「本場大島紬」の織り込みと証紙が現れたそうです。

お目が高いですね。



背縫いを通常の1㎝にすると、よろけ縞が二本並んで気になるので、

1.5㎝にして、袋縫いにしました。



変り織りで、光線の具合で市松模様に見えます。

依頼者さんは、昔のサントリーのCM「少し愛して長~く愛して」がお好きで、

大原麗子のラフな着物姿に憧れておられるとか。

これからは、外出時だけでなく、家でもちょくちょく着られるのかな?


      着物きて割烹着きてお元日      仕立屋お吟


2019年12月22日日曜日

弓道用着物


弓道用の紋付の仕立てを頼まれました。



帝人の新素材です。



弓道では、男性は肌脱ぎといって、左肩を脱いで矢を射ます。

依頼者さんは、怪我で左腕が曲がりづらいため、

右袖は通常の仕立てですが、左は袖口と袖付を思いっきり広く仕立てました。

間違えないように、「ミ」と「ヒ」の糸印をつけました。



仕立て上がって敷きのしをします。

その後、紋屋さんへ刷り込み紋を依頼します。



五つ紋が入りました。

紋には、「染め紋」や「縫い紋」がありますが、

弓道用の着物には、「刷り込み紋」という印刷のような紋を入れます。



依頼者さんは「三つ扇」という珍しい紋だったため、追加料金3800円も掛かりました。


       紋付の躾をとりて弓始       仕立屋お吟


2019年12月15日日曜日

裾直し


男物の着物の裾の擦り切れを隠すよう頼まれました。



よく着られた着物でしょう、写真では分かりにくいですが、

かなりふきの部分が擦り切れています。



背縫いの裏を少々ほどいてひっくり返し、元の縫い目の1㎝下を一針抜きで縫います。

身丈が1㎝短くなりますが、仕方ありません。

背が縮んでいる場合は丁度いいですね。



褄の始末をして表に返し、裏を3㎜ふかして裾を整えます。

飾り躾をしてしのびを入れます。



手術と同様、ほどいた背縫いを縫い合わせて出来上がり。

2日ほど敷きのしします。


        冬ざるる男着物の風合ひも      仕立屋お吟




2019年12月7日土曜日

羽織の丈伸ばし


羽織の丈伸ばしと、裄と袖丈伸ばしを頼まれました。

全部ほどいて一から縫い直すほうが簡単なのですが、

依頼者さんの強い希望で、部分直しに挑戦することにしました。



50年ほど前の羽織で、丈83㎝は、今身長160㎝の人が着ると落ち着かないようです。



袖をはずしマチをはずし、衿も下半分ほどいて前下がりもほどいて、びらびらの状態です。

さらに胴はぎもほどいて、足し布をします。



袖巾と袖丈を伸ばして敷きのしします。

折り目はうっすら残っていますが、目立ちません。

日焼けがなくてよかったです。



通常8㎝ほどの衿先の縫い代が、18センチもあったので、10㎝羽織丈を長くできました。

先を読んで手順を考えて、、、というとても難しい仕事でしたが、

こうしてきれいに直って、充実感でいっぱいです。

お正月に着られるそうです。


       年用意して四世代の着物好き      仕立屋お吟







2019年11月29日金曜日

道中着


変った仕立て直しを頼まれました。



喪服をほどいて道中着に直します。

裏は、派手な長襦袢です。



長襦袢地の巾がせまいので、足し布をしました。



半信半疑で仕立てているので、お袖が縫いあがって嬉しい。

衿は、地衿と掛け衿を継ぎ足し、衽と衽を継ぎ足し、さらに両者を継ぎ足します。

着ると継ぎ足したところは見えません。



なんとか仕上がりました。

紋は、依頼者さん自ら、長襦袢の赤いしぼり部分でアップリケを作って隠されます。

着心地は想像以上によいです。



紐飾りは、リボンにしました。

お正月に後楽園で鼓を演奏されるのに、羽織ってゆかれるそうです。


鼓などたしなむ人に春著縫ふ    仕立屋お吟