2017年12月18日月曜日

女形の着物



女形の着物の仕立てを頼まれました。

ごく普通の、正絹の可愛らしい振袖から仕立てます。

余分なお袖をばっさり!



袖口を持って踊るため、裄がとても長いので、足し布をします。



衣紋をぐっと抜いて、こんな感じに仕立て上がりました。



年末年始は、この華やかな画像を載せておきましょう。


春著縫ふ研いでもらひし羅紗鋏     仕立て屋お吟





2017年11月28日火曜日

作り帯


名古屋帯や袋帯を作り帯に直すよう頼まれました。



帯を切らずに仕立てます。

着物の仕立ての時、袖付けなどをしっかりさせる「留め」が力を発揮してくれます。

けっこう時間がかかりますが、仲間が集まる日なら、一日で出来上がりました。




連れゐれば捗る仕事冬日向     仕立屋お吟




2017年10月31日火曜日

長着を道中着に



洗い張りした長着を道中着に仕立て直すよう頼まれました。

紅型風の紬です。



丈が長いので、下前の隠れるところで、地衿と掛け衿を継いでいます。

衿を作るのに並巾がいるので、さらに衿と衽を継いでいます。

着ると継目はまったく見えません。



直線裁ちの着物のよろしさですね。

直線裁ちは、私の性分に合っています。


      冬近し上に着るもの華やかに      仕立屋お吟

2017年10月20日金曜日

ジーンズの着物


ジーンズが原反で届きました。



これで、七枚の男物の着物を縫ってほしいという依頼です。

ジーンズであろうと、米倉涼子扮する大門未知子のきめ台詞じゃないですが、

「私、手を抜かないんで、、、、」(笑)。



衿肩回りもシャープに。



人形のあたりもかっちりと。



衿先もすっきりと。



舞台衣装になるそうです。どんな若者のパフォーマンスになるのでしょう。

観てみたいものです。


ジーンズといふ秋風に似合ふもの     仕立屋お吟


2017年10月16日月曜日

胴抜きの袷



胴抜きの袷の仕立てを頼まれました。

上半身と袖の裏地を抜きつつ、いかにも袷を着ているように見せます。

暖かすぎる十月とか、暑がりの方向きです。




胴裏のない、忘れ物したようなしるし付け。




袖を縫って裏返したところ。

袖口に八掛、振りには振り布をつけて、袷に見せかけます。




身頃の裏はこんな感じで八掛のみ付けてあります。




柄といい手触りといい、なんとも魅力的な紬のできあがり。


         ちくちくと紬を縫へば秋深む     仕立屋お吟

2017年9月26日火曜日

七五三の着物



五歳の男の子の着物と羽織の仕立てを頼まれました。

お祖母様が着物好きだったこともあり、

このお子さんがまだ赤ちゃんの頃から白生地を探し、

着物の分は水色に、羽織の分は紺色に染め、

五歳になるのを待っておられたそうです。

お若いお母さんの丁寧な生き方に胸がキュンとなりました。




和裁士として、お子さんの健やかな成長を祈りつつ、仕立てさせていただきました。

袴をつけるともっと凛々しくなることでしょう。

三歳の妹さんは、お母さんが七歳のときに着た着物を着ます。


        兄ちやんは大海の色七五三       仕立て屋お吟


      


2017年9月12日火曜日

袷の小紋



朝晩涼しくなりました。

この夏は、クーラーの中で単衣や薄物ばかり縫っていたので、

夜風に当たりながら袷にとりかかるのが新鮮です。



色無地に近い淡いベージュの小紋。八掛も淡いオレンジです。




こういうとても繊細な地色の着物はお茶会で着られるのでしょうか。





源氏香という文様がちらばって、いい仕事しています。

源氏香は香道から生まれた「組香(くみこう)」の一種です。

組香のひとつひとつに、源氏物語の巻名「夕霧」とか「夕顔」とか、名前がつけられています。

楽しいですね。


             秋袷さらりさらりと針運ぶ     仕立屋お吟

2017年9月4日月曜日

異国の布



イギリス在住の方から布が送られてきました。

アフリカの民族衣装に仕立てる木綿で、オランダで織られたものです。

これで浴衣を縫ってほしいという依頼です。

プリントではなく、浴衣地などの日本の伝統的な両染めと同じく、表裏染められています。




筋肉質のコーヒー色の肌を美しく見せる色柄です。

浴衣に仕立てるとどうなるでしょう?






いかがですか?

イギリスの街角に似合いそうですね。

発想の豊かな依頼者さんに拍手です♪


        アフリカの布や浴衣に縫ひあげむ    仕立屋お吟









2017年7月28日金曜日

浴衣の腰揚げ



輪切りのレモンを散りばめたポップな模様。

中学生の女の子の浴衣です。




さっと着せてやりたいのと着くづれ防止を兼ねて、おはしょりの位置で腰揚げをするよう頼まれました。




さ、これで、同級生の男の子たちを追いかけても大丈夫。


       大人びてまだまだ子ども藍浴衣    仕立て屋お吟






2017年7月7日金曜日

仕立て直し



三歳の男の子のいる若いママさんから、仕立て直しを頼まれました。



ご覧のとおり、色も柄も肌触りも、彼女の好みだったので、一から仕立て直すことになりました。

裄も身巾も身丈も長くし、バチ衿も広衿にします。




通常小紋は、写真のように、衿肩明きを布の中心でまっすぐ切り目を入れて繰越を6㎝つまみますが、




少しでも身丈を長くとるために、カーブに切って、繰越はつまみません。これで、3㎝は長くなります。




はい、七夕の日に織姫が羽織るような単衣が縫いあがりました。


        七夕や着物好きなる若き母       仕立て屋お吟






2017年6月26日月曜日

洗える単衣


茶道と華道をたしなむ方から、
「とても汗かきなので、自宅で洗える着物を縫ってほしい」と、
単衣の仕立てを頼まれました。



東レシルックの色無地です。試行錯誤の末に完成されたであろう風合いです。
衿裏も東レシルック、背伏せ布はキュプラ、糸もシャッペと、抜かりなく買い揃えました。
うっかり絹を使うと、そこだけ縮んで大変です。



やや縫いにくかったですが、お茶席などでは、正絹を着ているように見えると思います。



紋も入れて、絹でなくとも、かなりの金額をかけた一枚と思われます。
初夏と初秋に大活躍してほしいものです。


      玉の汗茶道華道を究めむと     仕立て屋お吟

2017年6月20日火曜日

絽の羽織のリメイク


今日は和裁の集まりの日。

着付けの仕事をしている仲間が和服で来ました。



しみの目立っていた紬を裏返して仕立てた、彼女のお気に入りの一枚。



半巾帯をだらりの文庫に結んで、ゆったりと着なれた感じです。



そして、この塵除けのお洒落な羽織物はなんだと思われますか?

頂き物の絽の羽織の、なんと袖を外しただけの、究極の簡単リメイクの一枚です。

透けて見える流水の文様がなんとも涼やか。


    夏帯やこの母にしてこの娘     仕立屋お吟





2017年6月6日火曜日

紗の道中着


着付けの先生より、紗の道中着を頼まれました。

反物は着尺(着物用の12m)なので、着物にしようか迷われたようです。



雪輪もようの繊細な紗です。



初夏または初秋に羽織る、お洒落な一枚が仕上がりました。



紐飾りは共布でお花を作ってみました。


      着る人を思ひつつ縫ふ薄衣       仕立て屋お吟

2017年5月20日土曜日

身丈を長く


お母様の袷の紬を、長身の娘さん用に直すよう頼まれました。

内揚げも残り布も、他のはぎれもないといこと。どうしましょう?



衿は、このように、地衿と掛け衿で縫われています。

この掛け衿を、おはしょりに隠れる部分に継ぎ足して、身丈を長くすることにしました。

なくなってしまう掛け衿は、地衿をつまんで、あるように見せかけます。



思い切って鋏を入れて、、、



掛け衿を継ぎ足します。



はい、共布なので、継ぎ足したことが分からないくらいうまく仕上がりました。



衿にも、ちゃんと掛け衿が掛かっているように見えるでしょう?(笑)。

こういう技は、大島紬など、しゃきっとした素材に向いています。


       朝涼し母の紬を縫ひ直し    仕立て屋お吟

2017年5月10日水曜日

男物の大島を女物に



隣町の着物好きさん、奄美大島出身の方から頂いた男物の大島紬を、
何年も手元であたためていたそうです。

そろそろ大島の似合う年齢になったということで、女物に仕立てるよう頼まれました。

ほぼ紺の無地に近い大島に、どんな八掛を合わすのでしょう?




渋いピンクと共に、本場奄美の大島紬がやってきました。

年月が経っているので、少々針の通りが悪かったですが、とても軽やかな袷に仕上がりました。




着付けた姿を拝見するのが楽しみです。


         薫風やよき手触りの紬縫ひ     仕立て屋お吟

2017年4月23日日曜日

男物の白絣を女物に



男物の白絣を女物に直すよう頼まれました。

単衣の女物は部分直しで出来ますが、男物は直すところが多すぎて、無理でした。

私の母がほどいて、一から縫い直すことにしました。





とても涼しげな盛夏用の麻の着物に仕上がりました。





色白の方なので、おしゃれに美しく着てくださると思います。


色白は母親ゆづり白絣    仕立て屋お吟

2017年4月6日木曜日

着物と帯のリメイク



和裁の仲間が、着物や帯から小物を作りました。




紬から作った日傘



絞りから作った日傘




帯から作った信玄袋






帯から作った数寄屋袋






紬から作った化粧ポーチ


私は和裁専門ですが、仲間は多才です。


日傘へとかはりて若き日の紬      仕立て屋お吟