2019年5月29日水曜日

羽織を半巾帯に


羽織から半巾帯をつくるよう頼まれました。



羽織のときの写真を撮り忘れましたが、

表は粋な絞り。肩裏には、楚々とした萩の文様があります。

依頼者さんは、この萩の文様が気に入られて、

結んだ時に裏が見えるように仕立ててほしいと仰いました。



お見事な発想ですね。

和裁の仲間がミシンで仕立てました。

いろんな変わり結びが楽しめそうです。


半巾をざつくり結び日からかさ       仕立屋お吟








2019年5月26日日曜日

麻の着物


京都から、麻の白生地が染まっては送られてきます。



上が薄黄。下はカナリアで、黄緑を帯びています。

色の呼び名が面白いです。



まずは、薄黄を仕上げました。

薄黄といっても、かなり黄色いです。

どんな帯や小物でコーディネートされるんでしょうね。

呉服屋さんを通してなので、見られないのが残念。


      うすものを縫へば朝風ひんやりと    仕立屋お吟




2019年5月23日木曜日


単衣の裄と身丈を伸ばすよう頼まれました。

単衣で内揚げがある場合、部分直しで身丈が伸ばせます。



衿をかなり上までほどき、背縫いと脇縫いと衽つけを少々ほどいた状態。

さらに内揚げをほどき、着物のお腹のあたりを縫い合わせて縫い合わせてゆきます。

外科医になった気分です。



内揚げと衿を縫い直すと、元の折り目や縫い目が目立ちます。



肩巾を伸ばすと、さらに元の折り目がくっきり現れます。





湿らせた絹布をあててコテをかけると、かなり目立たなくなりました。



本塩沢だそうです。

お茶席にしっとり馴染みそうです。


        雪国で織られし着物風炉点前      仕立屋お吟





2019年5月18日土曜日

弓道の着物


弓道用の男性の着物を頼まれました。

普通の男物とは違うので、見本を見ながらの仕立てとなりました。



しるしの付きにくい反物なので、体重をかけてコテを押さえます。



袴を穿くので、丈は短く仕立てます。

この依頼者さんは、左手に事故の後遺症があるので、

肩脱ぎ(左肩を脱いで射る)しやすいよう、左だけ袖付と袖口を長くしてあります。

弓道部一のお洒落さんだそうです。


     風薫るけふ新調の弓道着      仕立屋お吟




2019年5月15日水曜日

麻の着物


京都の呉服屋さんから、麻の反物が送られてくる季節となりました。

白生地が、お客さんの好みの色に染まると、私のところに来ます。

一反目は、薄鼠青でした。



麻はコテが効きやすく、きっちり折り目が付きますが、

袖と地衿と掛け衿を2日ほど敷きのしします。



薄手の麻なので、広幅のいしき当てを付けます。



麻は、縫っているうちに皺だらけとなりますので、これから綺麗に畳んで、3日ほど敷きのしします。

夜明けの空のような一枚です。


      針通りよろしき麻の着物縫ふ         仕立屋お吟



2019年5月9日木曜日

裄直し


大島の裄を直すよう頼まれました。



置いた状態で比べると、長襦袢が5㎜ほど長いだけですが、

着て動いていると、袖口から2㎝くらいはみだしてくるようです。

大島がしゃきっとしているのに対して、長襦袢が普通よりとろんとした材質のためと思われます。

でも、依頼主さんは、このとろんとした素材の光琳梅の柄がとてもお気に入り。



大島の袖巾を2.5㎝伸ばしました。

試着してもらうと、ちょうど1㎝ほど長襦袢が控えられていました。



縦縞の粋な大島です。

依頼主さんはとても面白い方で、

「この着物、雨の日に着て少々泥跳ねしても大丈夫。だって泥大島だから。」

と、仰っていました。


艶秘めし泥大島や春しぐれ       仕立屋お吟





2019年5月2日木曜日

比翼


留袖に比翼をつけてほしいと頼まれました。



ご覧のとおり、比翼なしの留袖です。

今までは、白の重ねを着ていたけれど、着ぶくれるのがいやになられたとか。



白の重ねは、ほどいて折り目を取りました。

白なので、クリーニング済みですが、裾はどうしてもこのように汚れたままです。

この裾部分と袖口の汚れを切り落として、比翼を仕立てました。



お兄ちゃんたちが高校生の時に生まれた娘さんの結婚式に着られます。

その後は、娘さんに譲られるそうです。着物ならではですね。


       若葉風祝の着物を縫ひあげて    仕立屋お吟