2021年12月30日木曜日

古い大島紬  仕立て

 継ぎ足しての仕立てに掛かります。


年代物の大島紬です。

洗い張りされていますが、何かにしようと思われたのか、衿から少々布が取られています。

可能なら袷に仕立ててほしいと、依頼者さんが持ってみえました。


袖がかなり長いので、胴に足す布を切り取ります。


身頃の裾から90㎝の所をばっさり切り離します。

切らないと前に進まないのですが、勇気が要ります。


掛け衿があるように見せかけた「なんちゃって衿」と袖を敷きのし。


ほぼご希望サイズに仕上がりました。

後ろ身頃・前身頃・衽、に継ぎ足した部分は、着付けるとまったく見えません。

着物のよろしさですね。


   古きよき大島を着て小晦日    仕立屋お吟



2021年12月26日日曜日

小紋 仕立て

小紋の仕立てにかかります。


 子育てが一段落して、着物を着はじめた依頼者さん、娘さんにも興味をもってほしくて、

箪笥に眠っていた小紋を用意されました。


とても優しい感じの一枚の仕上がり。


   初鏡仕立て上がりの小紋着て   仕立屋お吟



2021年12月23日木曜日

弓道用着物

ごく普通の訪問着。


 弓道用に、袴がすっきり穿けるよう、短くします。


裾模様が残らないように切り落としました。

八掛がないので、裾は、裏を控えるように整えました。

新春の弓始で着られます。


    弓始うすくれなゐを着てきりり   仕立屋お吟




2021年12月17日金曜日

こどもの振袖

こども用の振袖の仕立てにかかります。


 展示用の仮縫いの状態でしたので、ほどいて折り目を消しました。

まず背縫いの柄合わせ。2㎝の背縫い代でぴたりと決まります。

こども用ですが、四つ身ではなく、本裁ちで、大人の振袖とほぼ同じです。


袖口布がなかったので、前身頃の八掛けの縫い代を失敬。


袖と地衿と掛け衿をしっかり敷きのし。


鹿の子絞りに折鶴と手毬の染め、その中には松竹梅・七宝・亀甲・青海波の紋様。

日本舞踊を習っている七歳の可愛い着物のできあがり。


    八掛けの菜の花色の春著縫ふ   仕立屋お吟




2021年12月11日土曜日

訪問着 仕立て

 訪問着の仕立てにかかります。



四十年ほど前、振袖を誂えた時、呉服屋さんにいただいた色無地の反物だそうです。

京都の絵付け師さんに、ご自分の鼓と同じ柄の鼓を絵付けしてもらいました。
1ミリの半分もずれないように柄合わせをしているところ。
衿と袖はしっかり敷きのし。


お正月の初鼓で着られます。

    小鼓の裾に描かれし春著縫ふ    仕立屋お吟


2021年12月8日水曜日

衿付け直し

衿元がきれいに収まらないと、直しを頼まれました。


 こうして吊るすと分かりませんが、


広衿は11㎝巾がまっすぐなはずなのに、この位置で12㎝、さらにバチ衿のように広がっています。


衿をはずして調べると、大きい待ち針の位置が正しい「衽下がり」が、3㎝上すぎ、3㎝外すぎます。

簡単に言えば、「斜めになだらかに付かないといけない衿が、角ばって付けられています。


衿を作り直して敷きのし。


これで、着付けやすくなると思います。

いくら着付けの先生をなさる依頼者さんでも、仕立てが悪いと無理ですね。

ついでに裄と袖丈も直しました。


     初雪の街へピンクの小紋着て   仕立屋お吟



2021年12月2日木曜日

袷 道中着 仕立て

道中着の仕立てに掛かります。


 表地は、依頼者さん自ら、お手持ちの道行コートをほどかれました。

湯のしに出したので、折り目はきれいに消えています。

裏は、長襦袢の反物を利用します。吉祥紋様の蜘蛛の巣です。


脱ぎ着でちらりと見えるお洒落です。


紐飾りは、道行コートのものを使います。


通常の広幅の衿は無理だったので、衽を付けてバチ衿にしました。

衽の下の方に、継ぎ足しがありますが、デザインと思えばOK.


   肩裏はくもの巣柄よ一葉忌    仕立屋お吟