2020年6月29日月曜日

浴衣


浴衣の仕立てを頼まれました。



七夕飾りの柄が大人かわいいです。



背やお尻あたりに同じ柄が来ないよう柄合わせしました。



上前のおくみの膝あたりにポイント柄が来るよう柄合わせしました。



左胸元にもよい柄を持ってきます。



衿芯を通されるそうなので、掛け衿の裏側は端を縫い綴じていません。

残り布で長めのいしき当もつけました。

七夕まで仕上がってほっとしています。


     七夕に間に合はせんと着物縫ふ      仕立屋お吟



2020年6月27日土曜日

木綿の着物


続いて木綿の着物です。



久留米絣でしょうか。



裄の長い方なので、袖には前身頃の縫い代を切って足し、

衿はなんちゃって衿(掛け衿をつけているように見せかけている)です。



後巾と肩巾の差が6㎝もあるので、身八つ口のあたりで縫い代に切り目を入れて、始末しています。

そうすると、縫い代はとても落ち着いて、脇がびびりません。

依頼者さんは、自宅で機器の設計をなさっているご主人の手助けをされています。

そんなときも木綿のお着物姿だそうです。


     絣着て家業手伝ふこと涼し      仕立屋お吟


2020年6月24日水曜日

木綿の着物


木綿の仕立てを頼まれました。



麻の葉の絣です。



裄の長い方なので、前身頃の縫い代を袖に継ぎ足します。



継目に違和感はあまりありません。



反物の丈が短く、通常の裁ち方が出来ないので、

衿は並幅を三等分して、新モスを継ぎ足してあります。



麻は成長が速く丈夫なので、めでたい模様とされ、特に産着につける風習があります。

依頼者さんは一時は難しい病気で臥せっておられたので、

お元気になられた今、生まれ変わった気持ちで、着物生活を楽しんでいただきたいものです。


      麻の葉を着てすこやかに梅雨ごもり        仕立屋お吟





2020年6月22日月曜日

着物のほころび


単の訪問着のほころびを直すよう頼まれました。



紬ですが、絵羽模様になっています。

流水と小舟と笹。

大変お気に入りで、もう何度も着られて、ついに擦り切れてしまいました。

お祖母さんが、繭から生糸をとられたそうです。

ふしが魅力的な紬です。



裾がほとんど擦り切れていたので、三つ折りぐけをほどいて、2㎝切り取りました。

この2㎝の布がとても重要です。

新たに三つ折りぐけをすると、綺麗な裾になりました。



次は、おくみにできた小指の先ほどの穴。



先ほど切り取った2㎝の布を裏から当てて、



刺し子の要領で刺してゆくと、穴がふさがりました。

プロへかけはぎに出すとお高いので、私がすることになりました。



次は、身八つ口のほころび。



これも切り取った2㎝の布でくるんで、ほころびは無くなりました。

この訪問着、また大活躍してほしいものです。


     気に入りの単衣ほころび繕ひて        仕立屋お吟


2020年6月19日金曜日

麻の着物


麻の着物の仕立てです。



色の名は、白梅鼠(しらうめねず)。

粋な名です。

「四十八茶百鼠」と言われるように、慣用色名には「鼠(ねずみ・ねず)」を用いるものが多いです。

銀鼠・深川鼠・利休鼠・相思鼠、、、、と魅力的な名がありますが、

白梅鼠は、白梅の花びらのような、淡く輝く灰色といったところでしょうか。



何枚か縫った麻の着物には、広幅のいしき当をつけるよう依頼がありましたが、

今回は付けません。

体格のよい方なので、裄はいっぱいいっぱいに取りました。

仕立てて後、上前の前身頃からおくみにかけて友禅染が施されます。

   色の名は白梅鼠やうすごろも     仕立屋お吟







2020年6月17日水曜日

身丈を詰める


袷小紋の丈を詰めるよう頼まれました。



ずいぶん大きな着物です。

それを身長135㎝のお年寄りが着られます。



長すぎる小紋は裾で直せます。

26㎝も切り落とすことになります。

切りたくないですが、切らねばなりません。

お年寄りの着物姿は素敵です。


     市松はあきの来ぬ柄朝茶の湯     仕立屋お吟




   

2020年6月14日日曜日

掛け衿


単の紬のお直しを頼まれました。



丸洗いに出したのだけれど、掛け衿の皮脂汚れが取れていません。

掛け衿を外して、裏返してみることにしました。



想像通り、裏までは染みていませんでした。

紬は裏表がないので、裏返して付けます。



まっさらになりました。



袖丈と裄を出して出来上がり。

袖丈は、袖下を袋縫いせずに、布いっぱいに出しました。裁ち目のままです。

衣擦れの音の魅力的な、流水の文様の一枚です。

お祖母様の形見です。

   亡き祖母の好みし紬着て涼し       仕立屋お吟





      

2020年6月8日月曜日

麻の着物


麻の着物の仕立てが続きます。



色の名は、白群(びゃくぐん)。淡い水色です。

群青色の仲間で、紺色を呈するものを紺青(こんじょう)、淡い色調のものを白群と称するようです。



広衿を作っているところ。衿裏に、50㎝あたり2㎜ほどのゆるみを入れると、きれいに仕上がります。

ミシンではできない加減です。



この方も茶道をされるので、前巾を少し広めにしました。

立礼のお点前など涼しげにされているお姿が目に浮かびます。


簾して背縫ひ脇縫ひこまやかに       仕立屋お吟



2020年6月5日金曜日

ジャワ更紗


ジャワ更紗で上っ張りを作るよう頼まれました。



ろうけつ染めです。

骨董品のレベルの貴重な更紗で、極楽鳥やトロピカルな植物が染められています。

布を眺めながら、肩山をどの部分にしようか、袖山をどの部分にしようか、

衿は?ポケットは?と、楽しく模索しました。



背中に上向きの極楽鳥を持ってきました。

肩山あたりは無地になっています。



衿も、首回りは無地に、身頃と自然なかたちで柄が来るよう裁ちました。

袖は、左右が同じ柄にならないよう配慮しました。

ポケットはまだつけていませんが、大人しい柄をもってきます。

縫って分かったことは、しなやかなのに腰のある、力を持った木綿ということ。

白髭の似合う、博学の紳士が着られます。

     ジャワ更紗着れば白髭涼しかり      仕立屋お吟







2020年6月3日水曜日

麻の着物


麻の着物、つぎは、



練色(ねりいろ)です。

『色の手帖』より

生絹を伸ばしたり固めたり煮たりすることを「練る」と言う。

生絹を練って、膠質(=セリシン)を除いてしなやかにした糸や織物のような色。

『堤中納言物語』の中の「虫めづる姫君」に、このようなくだりがあります。

***ねり色の綾の袿(うちかけ)ひとかさね・・・白きはかまを好みて著給へり***

伝統色名には魅せられています。



麻の織り物ですから、ところどころ「ふし」がいい味を出しているのですが、

反物を点検していて、目立ちすぎるふしを見つけました。

これは、残り布に行くように裁ちます。



背伏せ布をつけているところ。

背伏せ布は、50㎝に2㎜ほどゆるめると、きれいに仕上がります。

ミシンでは出来ない加減です。



仕上がりました。茶道をなさる方なので、前巾を少し広めに仕立てました。

     
       着物きて朝風のごと風炉点前     仕立屋お吟



2020年6月1日月曜日

麻の着物


5月~6月にかけて、京都の呉服屋さんから麻の反物が届きます。

今年はコロナ禍で、いつもの三割の仕立てになるそうです。



色の名は、「灰きみどり」。

無地の麻で、仕立てた後、友禅染が施されます。



くっきり折り目のつく麻ですが、袖と地衿と掛け衿の敷きのしをします。



脇の折り目を整えてしっかり敷きのしします。


       うすものを縫ふ仕事場の玻璃囲ひ     仕立屋お吟