2026年2月4日水曜日

羽織を四つ身に

 羽織を四つ身に仕立て直します。


幼馴染Tの、生きていらしたら120歳のお祖母さんが、二十歳のTのために仕立てた羽織です。

Tが自分でほどいて、五歳の孫のために四つ身に縫ってほしいと持ってきました。

お祖母さんの娘の娘の娘の娘の着物になります。

女系五代の物語です。


四つ身の細い衿と大きな丸みの袖を縫って敷きのし。


羽織の前身頃が、四つ身の後ろ身頃になっています。

揚げをして、可愛い五歳の絞りの着物になりました。

雛祭りに、女三代が着物を着るそうです。

   雛の日に着せる着物の縫ひあがる    仕立屋お吟


T

2025年12月6日土曜日

身丈が足りない時

洗い張り済の紬の仕立て直しを頼まれました。

大切な方の形見の紬です。


身丈が10㎝足りないので、洗い張り済の紬用八掛を、おはしょりに隠れる部分に継ぎ足しました。

継ぎ足し部分がごろごろしないよう、薄手の布を使います。


掛け衿がとても短かったので、地衿を継ぎ足して、なんちゃって掛け衿にしました。

少し残った衿の布は、寸足らずの下前のおくみに継ぎ足しました。

織り糸の色目も手触りも素晴らしいので、「いいものをもらわれましたね」と添えてお送りすると、「娘さんから、久米島紬だと渡されましたが、久米島紬はコカコーラのような色ですよね?」と依頼者さん。

で、図書館で調べると、このような記述あり。

 「久米島紬の基本になる色は、黒褐色・赤茶色・黄色・鶯色・灰色の5色で、すべて島の植物から生み出される自然の色である。」

依頼者さんの紬は、黄色・鶯色・灰色あたりの色が混じっているので、二人の間で、久米島紬ということにしましょうと、意見がまとまった(笑)。

     冬うらら珊瑚の海の色の布   仕立屋お吟



2025年10月27日月曜日

継ぎ足しの単衣訪問着

 洗い張り済の、紫の美しい訪問着を仕立てます。

長身の方なので、布が足りません。

袖巾に割を入れたいのですが、衿からも縫い代からも布が捻出できないので、

依頼者さんの希望で、下前の衽を使うことにしました。

地模様のある布なので、割が目立ちません。
下前の衽には、菊の地模様のあるちりめんをチョイス。
足りない身丈にも、おはしょりで隠れる位置に同じちりめんを継ぎ足しました。
落着いた華やかさのあるお茶人の訪問着の出来上がり。

お点前の袖のむらさき菊日和   仕立屋お吟












2025年9月22日月曜日

単衣の大直し

 お祖母さまの形見の単衣の身丈・身巾・裄・袖丈を出します。


袖を外し、衿先をほどき、裾から90㎝のところで、切り離します。



脇の所で身巾を出し、別布の薄地の紬の横布を使って継ぎ足し、
縫い代を折りふせ縫いで整えます。
茶道のお稽古にどんどん着てくれそうです。

渋色の祖母のかたみを風呂名残  仕立屋お吟








2025年6月12日木曜日

紅型

 紅型の仕立てに掛かります。

この紅型、依頼者さんのなじみの骨董屋さんが、新潟の養蚕農家の蔵から古道具の箱と一緒に掘り出してきたものだとか。
現在のその農家のお嫁さんの、二代前のお嫁さんの、袖を通していない着物だそうで、虫干しの度に行李の蓋をあけて、風を通してきたので、色移りはあるが染みはなかったそう。
依頼者さんは、買ったのち悉皆屋へ解きのしに出し、気になる色移りの部分に和布用の絵の具で補色し、はるばる東京から倉敷の私の元へ送ってみえました。
しかし、補色部分のクリーム色はかなり目立ちます。(左側の縦線)
先ずは、袖と衿をつくって敷きのし。
袖付け側は仕方ないにしても、袖口の変色は隠れるよう、深く縫いました。
衿は、変色が隠れるよう、狙いを定めてきれいな部分でつくりました。

衽縫いや衿下にも変色が出ないよう工夫したので、前巾と衽巾は希望サイズとは微妙に違います。

仕立てて驚いたのは、ふつうの和服と違って、紅型はどこもかしこも衿までも左右対称であること。
ザ、南国♪という感じです。

身丈も足りないので、おはしょりで隠れる位置に足し布をしました。
あとは、変色部分に色を加えるかどうか思案中の依頼者さんへバトンタッチです。
依頼者さんがとても喜んでくださったので、仕立屋冥利に尽きます。
   縫ひあげて吊るす紅型南風    仕立屋お吟