2024年6月27日木曜日

男物の反物で女物を

単衣の長着と道中着を仕立てます。


 お父さんの形見の大島から、娘さん用の二枚を仕立てます。

古い反物なので、灯に透かして見ると、思わず、北斗七星や白鳥座やカシオペア座と名づけたくなるような、

星空のような虫食いが三か所あります。



かなり考えて、星座はすべて、縫い代と下前の衿に回して、

着付けると見えないように仕立てられました。

今後、出番が多いと嬉しいです。

    亡き父の反で誂へ夏着物   仕立屋お吟


2024年6月8日土曜日

墨流し

 墨流し作家恭平さんの、セオαの楊柳を仕立てます。


渋さの中に、ターコイスブルーやワインレッドのさし色が華やかです。


並幅が41㎝もあるので、背縫いを通常の1㎝にしたのでは、

脇の柄が縫い代に入ってしまいます。

思い切って背縫い4㎝に決め、全体のバランスを考えました。

コテや敷きのしの効きにくい布なので、2・3日は敷きのし。
背縫い4㎝が、濃すぎる染め部分が隠れていい感じになりました。
おくみに濃い墨流し部分がくるので、衿は淡い部分になります。
しかし、淡くなりすぎないよう、一番淡い衿の耳部分を4㎝切り落し、
布が重なってごろごろしないよう仕立てました。
コーディネートが楽しみです。
    夏にこそ着物四十路の同窓会   仕立屋お吟
    





2024年4月30日火曜日

綿麻紅梅

夏物の仕立てにかかります。

綿麻紅梅織に絞りをほどこしたものです。


ほんとうの着物好きさんは、夏こそ着物と仰います。

なんとも涼しげな一枚。

柄合わせはいらない生地ですが、ところどころ紫の絞りの濃い部分がありましたので、
左後ろの裾と、上前の衽の膝あたりに持ってきました。

右の後ろ袖にも、濃い部分を。


左の前袖と左の衿元にも濃い部分を持ってきました。

お吟さんの美学です(笑)。

    明るめの小雨つづきを単衣縫ふ    仕立屋お吟





 

2024年3月23日土曜日

祖母の色無地を四つ身に

 四つ身の仕立てに掛かります。


お祖母さまの色無地をときのししたもの。

四つ身なので、後ろ身頃を7.5㎝切り落とします。


袖と細い衿をつくって敷きのし。

背の一つ紋は、前身頃の縫い代に入るよう裁ちました。
七歳まで着られる四つ身の出来上がり。
祝い紐をつけて、百日参りにも羽織ります。
写真に撮るのを失念しましたが、友達が共布で髪飾りをつくってくれました。
依頼者さん、大喜びでした。
   祖母の衣産着となれり花三分   仕立屋お吟





2024年3月11日月曜日

同じ柄の色違い

 姉妹の小紋を仕立てます。


同じ柄の黄色とミントのちりめんです。

体格が少し違うので、中間どころの寸法にします。


先ず黄色、背やお尻にバランスよく柄が来るように。

上前のおくみの膝にポイント柄が来るように。


左胸が華やかになるように。

上前の衿元がごちゃごちゃしすぎず淋しくならず。


ミントの方、黄色と同じに裁ってもよかったのですが、

バランスは保ちつつ、逆に柄合わせしました。が、後から見るとあまり変わりません。


左胸から衿元にかけて、少し違うのが分かります。

四月に、姉妹でお茶会のお運びをします。

お客さんの目を引くことでしょう。

   お運びの姉妹の衣も春のいろ    仕立屋お吟