2021年7月30日金曜日

黒留袖 身巾直し

 黒留袖の身巾を出すよう頼まれました。


依頼者さんが久しぶりに箪笥から出したところ、

裾の模様のあるところ全体に黴がきていました。

馴染のクリーニング屋さんへ持ってゆくと、

「模様のあるところは通気が悪く湿気が来やすい」とか。


広げる脇縫いをちょっとほどいて、縫い代の部分も黴とりをお願いしました。

腕の良い職人さんなので、きれいに黴をとってくださり、

他の変色部分には黒い染料を注してくださったとか。

新品のようにきれいになりました。


脇を広げると、写真右下、脇に描かれた鶴はこのようになりましたが、

二匹の鶴が仲良く並んで飛んでいると思いましょう(笑)。


ご両親がお嫁に持たせてくれた高価な黒留袖。

新郎の母の晴れ舞台を飾ってくれることでしょう。

   はつ秋の婚へ裳裾の鶴翔てり   仕立屋お吟

2021年7月28日水曜日

アンティーク 小千谷ちぢみ 身丈伸ばし

 単衣の身丈伸ばしを頼まれました。


アンティークの小千谷ちぢみ、萩尽しです。

12㎝は伸ばしたいと、依頼者さんが継ぎ足し用の別の小千谷ちぢみを持って見えましたが、


なんと、袖下の縫い代が25㎝もあったので、それを使うことにしました。

アンティークのお着物は、袖が長いんですよね。


掛け衿も通常92㎝あるものが70㎝しかなかったので、

外しておくみと衿先に継ぎ足すことにしました。

地衿を折って、見せかけの掛け衿をつくります。


継ぎ足し用の布が捻出できました。


裾から90㎝のあたりをばっさり切り離します。

この位置に継ぎ足しますと、おはしょりに隠れます。


ほぼ、ご希望サイズに直りました。


見せかけの掛け衿も見せかけには見えません。

昔の絵付師さんの色彩感覚に脱帽です。

依頼者さん、さぞかし素敵な着こなしをされることでしょう。


    恩師訪ふ小千谷ちぢみの萩尽し   仕立屋お吟



2021年7月25日日曜日

小千谷本麻上布 長襦袢

 単衣の長襦袢の仕立てを頼まれました。


小千谷本麻上布、あけび色です。


折り目がくっきりつく上布ですが、ぱりっとさせるために袖を敷きのし。


仕上がりました。

あけび色が、薄物を着たときに、ちらちらとさし色となることでしょう。

その下によき色を秘め薄衣   仕立屋お吟


    

2021年7月22日木曜日

片身替わり  小千谷ちぢみ

 片身替わりの仕立てを頼まれました。


まず縞のちぢみがあって、その中の一色江戸紫に白生地を染めてもらったとか。 
このように組み合わせてほしいと、上手な絵が添えられています。

左右だけでなく、上下でも色を変えます。


袖も衿も左右で色が違います。

しっかり敷きのし。


後ろから見ると普通の片身替わりですが、

前はこのとおり、個性的です。
長身の方なので、より効果的かと思われます。
お誕生日までに間に合わせて差し上げました。

   若き日はアメリカ暮し薄衣    仕立屋お吟



2021年7月16日金曜日

浴衣  仕立て

浴衣の仕立てを頼まれました。


 団扇尽くしです。とてもしなやかで腰のある木綿です。
表裏はないのですが、こちらが表と決めて、しるしをつけながら染めむらや織りキズの有無をチェックします。

木綿であっても袖の敷きのしをします。

左胸元が華やかになるよう柄を持ってきました。

上前のおくみ、膝あたりにポイント柄が来るようにしました。

後ろも同じ柄が来ないよう気をつけました。

8月1日の鼓の演奏会「浴衣会」で舞台に立たれます。


      鼓打つ列や浴衣の花咲かせ   仕立屋お吟

2021年7月11日日曜日

麻の着物 仕立て

麻の着物にかかりっきりです。


 色の名は紅藤。
藍白。
灰黄緑。


想思鼠(そうしねず)。

近代以降の文学的な表現による色名らしいです。


縫いあがると、いつもこのように畳んで敷きのしします。

それぞれの色の麻にどのような友禅染がなされるのでしょうね。


   麻よろし想思鼠といふ色も    仕立屋お吟




2021年7月2日金曜日

浴衣 仕立て

 浴衣の仕立てを頼まれました。


竺仙の朝顔尽くしです。

木綿もちゃんと敷きのしします。

左の衿元~胸元がきりっと見えるよう柄合わせ。
上前のおくみの裾が重くならないよう柄を持ってきます。
背縫いも同じ柄が来ないよう柄合わせ。
来週さっそく着られます。

大ぶりの朝顔ちらし白浴衣   仕立屋お吟