2023年2月27日月曜日

仕立て直し

 洗い張り済の大島に、骨董市で手に入れた八掛を合わせて仕立てます。


お祖母さんの鶴の紋様の渋い大島。

洗い張り済みです。

これに、京都は東寺の終い弘法で手に入れた八掛を合わせます。

経年物の白地をいろいろな色に染めて、1.5mに切ったものが売られていたそうです。

ちょっと前は、思わず買いたくなるような着物が安く売られていたそうですが、

現在は、いいものはすべてお高いとか。

唯一買えた、このトルコブルーの1.5m×四枚。

八掛には3枚で足りると告げると、残り一枚は帯揚げになさるそう。

通常は表地のほうが重いのですが、
この着物は八掛がちりめんのため、裏地の方が重くて垂れます。
袷は、着付けた時に表裏のバランスがよくなるよう仕立てますので、
畳むと、表が少々ふわふわしています。
「上にほかの着物を置かないように」の注意書きを添えて、お渡ししました。

    さし色にトルコブルーを春袷    仕立屋お吟




2023年2月11日土曜日

お祖母さんの着物の仕立て直し

洗い張りされたお祖母さんの着物を、美肌アドバイザーのお孫さんに仕立てます。

去年の秋からお待たせしていました。


とても軽い織の着物です。

紫の八掛は使えますが、紅絹は弱っているので、

手持ちの経年物の胴裏をお分けしました。


身丈が足りないので、長い袖を切って継ぎ足します。

まずは、身頃の裾から90㎝のところを切り離します。


一尺三寸分の袖を残して切り離します。


衽も足りないので、縫い代になる部分を切り離して、衽の上部に継ぎ足します。


無事仕上がった袷。

羽衣の軽さです。

   美肌アドバイザーけふ紫の春袷   仕立屋お吟



 

2023年1月28日土曜日

大島仕立て

大島の袷の仕立てに掛かります。

 

金糸と銀糸が織り込まれた、繊細にして大胆な大島です。

八掛はモスグリーン。


紬にオリジナルの一つ紋という個性派さんの一枚の出来上がり。

掛け衿の上前に、横一本の金糸をもってきました。

上前の衽の膝あたりにも、十文字の金糸をもってきました。
八掛の色が、とても素敵です。

   針通りよき大島に日脚伸ぶ   仕立屋お吟

   



2023年1月19日木曜日

男の子の羽織

男の子の羽織を仕立てます。


 アンティークの子供の着物専門の貸衣装屋さんが、

頑張ってオークションで競り落とした、大人の羽織の逸品です。

昭和初期の紬でしょうか、斬新な色柄です。

ほどくと、最初は着物で、のちに羽織に仕立てたものとわかりました。

その後、長年タンスに眠っていたものと思われます。

袖が短かったので、身頃を継ぎ足しました。
目立つ染みは残布に回せました。
凛々しい七五三になることでしょう。

同時に頼まれていた渋い赤の羽織も出来上がり。
どちらも世界に一つの個性的な羽織です。

    古布のそのピーコックブルー春隣   仕立屋お吟


2023年1月11日水曜日

袷小紋

 袷の小紋の仕立てです。


愛嬌よく並んだ張子の犬。作家さんのものです。


袖と衿を敷きのし。


とてもしっかりしたちりめんですが、年月を経て耳と反物の外側が変色しているので、

背縫いを深めにしたり、掛け衿の裁断に気を配ったりしました。

縫い針が折れるほど固くもなっていたので、縦縫いは仲間にミシン縫いしてもらいました。

張子の犬は、横一列に並ぶよう柄合わせ。

おめでたい柄なので、縫いあがったらすぐに取りにみえました。

近々着られます。

   冬麗の空の色なる着物縫ふ   仕立屋お吟