2020年4月7日火曜日

着物を半てんに


ウールの男着物を半てんに仕立てるよう頼まれました。

以前、そのウールの羽織の方を半てんに直して差し上げたのですが、

今回は息子さんにも欲しいという依頼です。



着物は単衣でしたので、手持ちの洋服の裏地をお分けしました。

袷に仕立てるので、袖口布をつけるところ。

ウールは厚地なので、袖口の表と裏で内輪差をつけます。



3~4㎜の内輪差をつけたことで、

このようにだり張りなく袖口が仕上がりました。



ポケットは、仲間にミシンでつけてもらいました。

親子でなかよく着てくれることでしょう。


    青饅や子はだんだんと父に似て     仕立屋お吟




2020年4月4日土曜日

道中着


袷の小紋を道中着に仕立てるよう頼まれました。

近所のお茶の先生です。



きれいに洗い張りされています。

羽裏も、この小紋の胴裏を利用します。

この先生に教えてもらったクリーニング屋さんに、

私もお世話になっています。



道中着の衿を作るところ。

衽と地衿と掛け衿をつなぎ合わせます。



あと、紐をつけると出来上がりです。

御召は織がしっかりしているので、道中着にぴったりです。


春袷若き弟子らに慕はれて        仕立屋お吟





2020年4月1日水曜日

浴衣


浴衣の仕立てを頼まれました。



しじら織りです。

裄が長く、腰回りのほっそりしている方なので、



仕上がると隠れる、前身頃の脇の縫い代を切り落として、



袖に継ぎ足しました。



身巾と肩巾に、6㎝以上の差があるので、脇の縫い代がうまく収まりません。

したがって、切り目を入れ、



すっきり落ち着かせました。



この反物は丈が短く、通常の衿の裁ち方ができません。

衿の真後ろで継いでいます。しかも、なんちゃって衿(掛け衿があるように見せかける)です。

三つ衿芯は、透けるので共布を使いました。



袖は、かなり斜めに付きました。



依頼者さんのご希望の寸法に仕上がりました。

おうちでラフに着られるそうです。

三反預かりましたが、すべて、とても仲の良いご主人の見立てです。


       単衣着る夫の見立てのしじら織      仕立屋お吟





2020年3月28日土曜日

着物を羽織に


袷の小紋を羽織に直すよう頼まれました。

通常なら、二つ返事でお引き受けするのですが、、、、

とても小柄な方のつい丈(おはしょりがない)の小紋で、布巾もありません。

あちこち継ぎ足してもよいとの依頼でしたが、どう計算しても、布が足りません。

かといって、せっかく仕立てるのに、短い羽織丈にしたくはありません。

この小紋は、依頼者さんのお母様の思い出の詰まった宝物なのです。

なんとか仕立てて差し上げたいと、しばらく保留にしていたら、、、、

偶然にもよく似たちりめんが手に入りました。


さあ、前代未聞の大手術の始まりです。




ほどいてアイロンを掛けて、細心の注意を払ってのしるしつけ。

肩巾が足りないので、掛け衿を切って継ぎ足しました。



衿は、おくみを継ぎ足して作りました。

折って何日も敷きのしします。



おくみだけでは足りないので、掛け衿も継ぎ足しています。



袖巾の足りないのは、地衿から持ってきました。



元の小紋の着物の身頃はすべて羽織の身頃になり、

おくみは衿になり、

地衿は袖に継ぎ足し、

掛け衿も衿と肩巾に継ぎ足され、もう布がありません。

圧巻は、このマチ。

そっくりな別布で作りました。

笑えるくらい違和感ないです。



出来上がりました。

肩で風切って歩きたい気分です。


       むらさきは亡き母の色花衣      仕立屋お吟


2020年3月24日火曜日

ちりよけ


うすものの道中着の仕立てを頼まれました。



透かし織りです。

足首までの長さにします。



裁つ前に、衿にベージュを持ってくるか、



黒を持ってくるか考えます。

悩ましいところですが、黒を持ってくることに決めました。

自ずから、身頃と袖の柄合わせも決まります。



袖口に、袖口布をつけて、高級感を出します。



巾広の衿も折って敷きのしします。



粋なちりよけ風道中着の出来上がり。

紐を付ける前に、敷きのしします。

鼓や長唄の演奏会への道中に羽織られることでしょう。


      うすものを縫ふ惜春の膝のうへ       仕立屋お吟