2023年8月18日金曜日

紗の仕立て直し

 紗を仕立てます。

洗い張り済のお母様の紗です。



袖丈が足りないので、袋縫いはせずにいっぱいに仕立てます。

身丈も足りないので、繰越揚げはつままずにいっぱいに仕立てます。

衿裏も紗です。
喜寿が近いので、人前に立つときは着物になさるようです。
    秋涼し庭を透かせて絹吊るし    仕立屋お吟


2023年8月13日日曜日

振袖直し

お母さんの振袖を、20㎝小柄な娘さんに直します。

まずは、袖丈を17㎝短く、袖巾を2・5㎝狭く縫い直して敷きのし。

表は、繰越揚げを13㎝よけいにつまみ直し、
裏は、胴接ぎを13㎝よけいにはぎ合わせます。
肩幅も1.5㎝狭くします。
一番ずたずたの状態を写し忘れました(笑)。
総絞りのはんなりとした振袖が、娘さんサイズに生まれ変わりました。

   秋涼し鹿の子絞りを縫ひあげて   仕立屋お吟

 


 

2023年8月7日月曜日

小さい反物

 巾も丈も小さい反物から、大き目の浴衣を仕立てます。

先日亡くなった三味線のお師匠さんから頂いたものなので、是非仕立てたいとのこと。
普通に裁断したのでは、裄70は取れないので、
身巾を加減して、余裕のできた前巾の縫い代から、6×110㎝の布を捻出。
身長190㎝の男物の着物の脇の縫い代から、
袖に継ぎ足す布を捻出したことはあったけれど、
この部分を切り落とすのは、40年の和裁歴でも初めて。

このように袖巾が出ました。

おくみ縫いの縫い代はたったこれだけに。
しかし、着たらわかりません。

反物の丈が短すぎるのは、いつもの特殊な裁断で、衿に足し布をして、ご覧のとおり。
着たらわかりません。
鼓や三味線のお稽古は、いつも和服の依頼者さん、お師匠さんが天国から見守ってくださることでしょう。
   
    お師匠を偲ぶ浴衣の波尽し    仕立屋お吟


2023年7月26日水曜日

本襲

本襲の仕立てに掛かります。

単衣本重、別名夏重ともいい、いかにも白の絽の着物と絽の黒留袖 を重ねて着ているように見える仕立てです。

見本か縫い方の本がなければ縫えないと申しますと、文献をコピーしたものが届いてしまったので、縫わざるを得ません(笑)。



依頼者さん宅にある民藝のお皿をモチーフに、友禅作家さんが絵付けされました。鹿の紋様は、この作家さんの証の柄とか。



最初、文献を読んだときは、私には無理だと思ったのですが、文献をいつもバッグに入れて、ランチが運ばれてくるまでの10分間とか、95歳の母がトイレから出てくるのを待つ10分とか、小分けに読み重ねていくうち、全体像がつかめてきたので、仕立屋お吟流の縫い方で進めることにしました。


無事仕上がって、ほっとしています。

袷の要領で縫っている部分と、


単衣が二枚にひらひらしている裾と、


涼しげな袖部分があります。

将来、どんな場面で着られるか、楽しみです。

   

    重ね着る涼しさのあり和のころも    仕立屋お吟




2023年7月11日火曜日

綿絽の浴衣

綿絽の仕立てに掛かります。

 
京都西陣の紫織庵の浴衣で、縦絽です。

大正時代の柄を友禅染で復刻しています。

広衿、いしき当てなしがご希望でした。
着る前から、依頼者さんにお似合いなのは分かります(笑)。
    涼しさや笹紋様の袖袂    仕立屋お吟