2019年7月17日水曜日

道中着


単衣の道中着を頼まれました。



夏大島です。透けています。

着尺なので着物にもできますが、

ふと、道中着もいいかな~っと思われたそうです。



耳がつっているので、ごく細かく鋏をいれます。

単衣に仕立てるので、袷のように5㎜の切り目を入れることはできません。



紐飾りは、いつものお花です。



晩春や初秋にふさわしい一枚ですね。


梅雨の月紬縫ふ手を休めては       仕立屋お吟




2019年7月9日火曜日

二重揚げ


七五三の前撮りの揚げを頼まれました。

真夏に前撮りをすれば、空いていてゆっくり出来るようです。



それにしても、この大きさ。

下に吊るしてある、身長160㎝の方の絽の着物とあまり変わりません。

それを2歳の子が着るのですから、そうとう無理があります。



まずは、一つ目の揚げをしたところ。

身八つ口ぎりぎりで腰揚げをつまみ、

衿付けぎりぎりで、肩揚げをつまんでいます。

このままでは不細工ですので、二重揚げをします。



なんとか三重揚げにならずに済みました。

袖も長すぎるので、揚げをしました。

いやがらずに着てくれますように。


     幼子を涼しくあやしカメラマン       仕立屋お吟




2019年7月4日木曜日

男物を女物に


男物の夏大島を女物に仕立て直すよう頼まれました。

着物で通されたお父様の形見だそうです。

洗い張りして仕立てたものが、躾のついたまま遺されていました。



ほどいてのしたものにしるしを付けます。



男物には十数㎝の内揚げがありますが、

伸ばしてもまだ身丈が足りないので、おはしょりに隠れる部分に足し布をします。

まず、裾から90㎝のあたりを思い切って切り離します。



私の手持ちの布の中で、一番素材と色の近い物を継ぎ足します。

これでやっと全体のしるし付けに取りかかれます。



衽は大幅に足りなかったので、掛け衿を継ぎ足しました。

なくなってしまった掛け衿は、地衿を折って、見せかけることにしました。

大変やりがいのある仕事でした。


     縫ひあげてうすものに風生まれけり       仕立屋お吟



2019年7月1日月曜日

留袖の裄直し


留袖の裄を伸ばすよう頼まれました。

新しく買われた長襦袢に合わせて寸法を決めます。





まず袖を外して、袖巾を広く縫い直します。

留袖には比翼がついているので、比翼も同じく縫い直して、

しっかり敷きのしします。





元の折り目もきれいに消すことができました。

8月の息子さんの結婚式が待たれますね。


       八月の婚へ留袖しやんと着て      仕立屋お吟



2019年6月25日火曜日

麻の男物


麻の着物の仕立ても、最後の一枚になりました。

盛夏に間に合って、ほっとしています。



上は鼠。

下の淡い灰色の名は、さて何でしょう?

お洒落で神秘的な名です。

その名も、ムーンストーン。



長身の男性の盛夏用です。

どんな着こなしをされるんでしょうね。


      古扇男の着物佳かりけり     仕立屋お吟






2019年6月21日金曜日

祭浴衣


祇園祭のお囃子衆の浴衣5枚を頼まれました。



白地と濃紺の地を組み合わせて作ります。

私は手いっぱいなので、仲間に縫ってもらいました。



左身頃と衿が白、右身頃が濃紺です。

粋ですね。

太鼓を叩いたり、洗濯も激しいので、

ほつれることのないよう、要所要所を厳重に縫ってもらいました。

7月の祇園祭まで、もうすぐです。


     急ぎ縫ふお囃子衆の藍浴衣        仕立屋お吟






2019年6月16日日曜日

夏羽織


6月は、麻の仕立てに始まり、麻の仕立てに終わりそうです。

くる日もくる日も麻を縫っています。



巾広の反物が来ました。

黄色の通常の物より10㎝近く広いです。

長身のフランス人の方のアンサンブルを仕立てます。



若竹色の方が着物になりました。

深緑の方は羽織になります。



羽織丈が長いうえに巾も広いので、横にも縦にもへら紙を継ぎ足して、

居間の床でしるしをつけます。

これ、かなりの重労働で、翌日は筋肉痛でした。



衣紋掛けから袖が10㎝ほどもはみだしています。

着付けると壮観でしょうね。

何をなさる方でしょう?


      夏羽織はおり異国の紳士かな       仕立屋お吟



2019年6月11日火曜日

医療用バンダナキャップ


和裁の仲間が、頼まれて医療用のバンダナキャップを縫いました。



抗がん剤治療で髪の毛が抜けてしまった方がかぶります。

ちりめんの着物をほどいて、洗って乾かして裁ちます。



表は小花柄。



裏は更紗模様。

リバーシブルです。

半年はこれを被って我慢ですね。

元気になっていただきたいものです。


      白南風に洗ふ帽子や病み抜けて        仕立屋お吟




2019年6月1日土曜日

着物のコーディネート


下の記事で、

「呉服屋さんを通しての仕立ては、どんなコーディネートにされたのか、
見ることができなくて残念。」

と、書き込んでいたら、

その呉服屋さんから、↓こんな洗練されたコーデの写真が送られてきました。



東京着物ショーに出展されて、好成績をおさめられたそうです。

私が仕立てた後、金彩友禅が裾にほどこされています。





こちらは、色の名を「りんどう」。

以前登った、四国の剣山の山頂に自生していた深山りんどうを思い出します。

仕立てた後、3日ほど敷きのしします。

1日では、ぱりっと仕上がりません。

この「りんどう」にも、金彩友禅が描かれるそうです。


      うすごろも山湖ひとつを置くごとく      仕立屋お吟





2019年5月29日水曜日

羽織を半巾帯に


羽織から半巾帯をつくるよう頼まれました。



羽織のときの写真を撮り忘れましたが、

表は粋な絞り。肩裏には、楚々とした萩の文様があります。

依頼者さんは、この萩の文様が気に入られて、

結んだ時に裏が見えるように仕立ててほしいと仰いました。



お見事な発想ですね。

和裁の仲間がミシンで仕立てました。

いろんな変わり結びが楽しめそうです。


半巾をざつくり結び日からかさ       仕立屋お吟








2019年5月26日日曜日

麻の着物


京都から、麻の白生地が染まっては送られてきます。



上が薄黄。下はカナリアで、黄緑を帯びています。

色の呼び名が面白いです。



まずは、薄黄を仕上げました。

薄黄といっても、かなり黄色いです。

どんな帯や小物でコーディネートされるんでしょうね。

呉服屋さんを通してなので、見られないのが残念。


      うすものを縫へば朝風ひんやりと    仕立屋お吟




2019年5月23日木曜日


単衣の裄と身丈を伸ばすよう頼まれました。

単衣で内揚げがある場合、部分直しで身丈が伸ばせます。



衿をかなり上までほどき、背縫いと脇縫いと衽つけを少々ほどいた状態。

さらに内揚げをほどき、着物のお腹のあたりを縫い合わせて縫い合わせてゆきます。

外科医になった気分です。



内揚げと衿を縫い直すと、元の折り目や縫い目が目立ちます。



肩巾を伸ばすと、さらに元の折り目がくっきり現れます。





湿らせた絹布をあててコテをかけると、かなり目立たなくなりました。



本塩沢だそうです。

お茶席にしっとり馴染みそうです。


        雪国で織られし着物風炉点前      仕立屋お吟





2019年5月18日土曜日

弓道の着物


弓道用の男性の着物を頼まれました。

普通の男物とは違うので、見本を見ながらの仕立てとなりました。



しるしの付きにくい反物なので、体重をかけてコテを押さえます。



袴を穿くので、丈は短く仕立てます。

この依頼者さんは、左手に事故の後遺症があるので、

肩脱ぎ(左肩を脱いで射る)しやすいよう、左だけ袖付と袖口を長くしてあります。

弓道部一のお洒落さんだそうです。


     風薫るけふ新調の弓道着      仕立屋お吟




2019年5月15日水曜日

麻の着物


京都の呉服屋さんから、麻の反物が送られてくる季節となりました。

白生地が、お客さんの好みの色に染まると、私のところに来ます。

一反目は、薄鼠青でした。



麻はコテが効きやすく、きっちり折り目が付きますが、

袖と地衿と掛け衿を2日ほど敷きのしします。



薄手の麻なので、広幅のいしき当てを付けます。



麻は、縫っているうちに皺だらけとなりますので、これから綺麗に畳んで、3日ほど敷きのしします。

夜明けの空のような一枚です。


      針通りよろしき麻の着物縫ふ         仕立屋お吟



2019年5月9日木曜日

裄直し


大島の裄を直すよう頼まれました。



置いた状態で比べると、長襦袢が5㎜ほど長いだけですが、

着て動いていると、袖口から2㎝くらいはみだしてくるようです。

大島がしゃきっとしているのに対して、長襦袢が普通よりとろんとした材質のためと思われます。

でも、依頼主さんは、このとろんとした素材の光琳梅の柄がとてもお気に入り。



大島の袖巾を2.5㎝伸ばしました。

試着してもらうと、ちょうど1㎝ほど長襦袢が控えられていました。



縦縞の粋な大島です。

依頼主さんはとても面白い方で、

「この着物、雨の日に着て少々泥跳ねしても大丈夫。だって泥大島だから。」

と、仰っていました。


艶秘めし泥大島や春しぐれ       仕立屋お吟





2019年5月2日木曜日

比翼


留袖に比翼をつけてほしいと頼まれました。



ご覧のとおり、比翼なしの留袖です。

今までは、白の重ねを着ていたけれど、着ぶくれるのがいやになられたとか。



白の重ねは、ほどいて折り目を取りました。

白なので、クリーニング済みですが、裾はどうしてもこのように汚れたままです。

この裾部分と袖口の汚れを切り落として、比翼を仕立てました。



お兄ちゃんたちが高校生の時に生まれた娘さんの結婚式に着られます。

その後は、娘さんに譲られるそうです。着物ならではですね。


       若葉風祝の着物を縫ひあげて    仕立屋お吟