2023年5月1日月曜日

黒留袖を羽織に

 黒留袖を羽織に仕立て直します。


裾模様を活かす仕立て直しですから、

否が応でも、上部を切り離さないとなりません。


切り離した部分は、羽織の返りになるよう継ぎ足します。

紋のある袖は使えませんので、八掛を袖山で継ぎ合わせて袖をつくりました。

大波の柄の染められた八掛を、右の後ろ袖に持ってくるのは、依頼者さんのご希望です。


背縫いの柄はぴったり合わせることができました。


まちは、衽の裾回しを使いましたので、

黒い無地で柄が寸断されるのをやわらげることができました。


上前の衽と下前の衽の柄がよい位置に来るよう、熟考して衿をつくりました。


返りには、紋があったり、継ぐ位置が裾ギリギリだったりで、苦心の跡が見られます。

近々、おめでたい行事や観劇などにお召の予定だそうで、仕立屋冥利に尽きます。

     お能観に春のなごりの黒羽織    仕立屋お吟





0 件のコメント:

コメントを投稿