黒留袖を羽織に仕立て直します。
裾模様を活かす仕立て直しですから、
否が応でも、上部を切り離さないとなりません。
切り離した部分は、羽織の返りになるよう継ぎ足します。
紋のある袖は使えませんので、八掛を袖山で継ぎ合わせて袖をつくりました。
大波の柄の染められた八掛を、右の後ろ袖に持ってくるのは、依頼者さんのご希望です。
背縫いの柄はぴったり合わせることができました。
まちは、衽の裾回しを使いましたので、
黒い無地で柄が寸断されるのをやわらげることができました。
上前の衽と下前の衽の柄がよい位置に来るよう、熟考して衿をつくりました。
返りには、紋があったり、継ぐ位置が裾ギリギリだったりで、苦心の跡が見られます。
近々、おめでたい行事や観劇などにお召の予定だそうで、仕立屋冥利に尽きます。
お能観に春のなごりの黒羽織 仕立屋お吟
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