2024年4月30日火曜日

綿麻紅梅

夏物の仕立てにかかります。

綿麻紅梅織に絞りをほどこしたものです。


ほんとうの着物好きさんは、夏こそ着物と仰います。

なんとも涼しげな一枚。

柄合わせはいらない生地ですが、ところどころ紫の絞りの濃い部分がありましたので、
左後ろの裾と、上前の衽の膝あたりに持ってきました。

右の後ろ袖にも、濃い部分を。


左の前袖と左の衿元にも濃い部分を持ってきました。

お吟さんの美学です(笑)。

    明るめの小雨つづきを単衣縫ふ    仕立屋お吟





 

2024年3月23日土曜日

祖母の色無地を四つ身に

 四つ身の仕立てに掛かります。


お祖母さまの色無地をときのししたもの。

四つ身なので、後ろ身頃を7.5㎝切り落とします。


袖と細い衿をつくって敷きのし。

背の一つ紋は、前身頃の縫い代に入るよう裁ちました。
七歳まで着られる四つ身の出来上がり。
祝い紐をつけて、百日参りにも羽織ります。
写真に撮るのを失念しましたが、友達が共布で髪飾りをつくってくれました。
依頼者さん、大喜びでした。
   祖母の衣産着となれり花三分   仕立屋お吟





2024年3月11日月曜日

同じ柄の色違い

 姉妹の小紋を仕立てます。


同じ柄の黄色とミントのちりめんです。

体格が少し違うので、中間どころの寸法にします。


先ず黄色、背やお尻にバランスよく柄が来るように。

上前のおくみの膝にポイント柄が来るように。


左胸が華やかになるように。

上前の衿元がごちゃごちゃしすぎず淋しくならず。


ミントの方、黄色と同じに裁ってもよかったのですが、

バランスは保ちつつ、逆に柄合わせしました。が、後から見るとあまり変わりません。


左胸から衿元にかけて、少し違うのが分かります。

四月に、姉妹でお茶会のお運びをします。

お客さんの目を引くことでしょう。

   お運びの姉妹の衣も春のいろ    仕立屋お吟





2024年2月25日日曜日

布が足りない

長身の方に単衣を仕立てます。


「波頭つながり」という紋様です。
ご自分で水通しをされ、広幅のいしき当てと衿裏と背伏せ布も、わけあり品を上手く買われました。

文様の名は「波頭つながり」ですが、背縫いで妙な波頭のつながりが出来ないよう気を付けました。
布が足りないので、繰越揚げはつままずに、
繰越裁ちにしました。

布が足りないので、衿は特殊な裁ち方をしました。
よって、衿の端は依頼者さんが用意してくださった紬の白生地を継ぎ足してあります。

波頭紋様裁てば春一番    仕立屋お吟


 

2024年2月9日金曜日

胴ぬき仕立て

胴ぬきの仕立てに掛かります。


 上級者さんの選んだのは、縞大島に有松の柳しぼりをほどこしたものに、

トランプ柄のちりめん。

袖とお好みのバチ衿をつくって敷きのし。

通常3㎜のふきを5㎜に整えて、存在感を出しました。
なるべく、トランプの裏の青がのぞくよう裁断しました。
袖口のふきも、通常2㎜のところ、3㎜に。

おくみの膝あたりに、ポイントのしぼりが来るように。


左の胸元にポイントのしぼりが来たので、上前の衿は縦のしぼりのみ。
着付けたお姿を、早く拝見したいです。
   
        有松の柳しぼりに春きざす   仕立屋お吟