2019年4月25日木曜日

袖口布と振り布


自宅で洗える絹の長襦袢の仕立てを頼まれました。





しっかりしつつさらりと手触りのよい絹です。

お手入れの仕方も、丁寧に書かれてあります。

さっそく見積もると、あらら、袖無双(袖だけ袷)で単衣の長襦袢とお聞きしていたのに、

寸法が足りません。

どうやら、単衣用だったようです。

しかし、高級品なので、丈は単衣用にしてはたっぷりあります。

そこで、留袖の比翼仕立ての要領で、袖口と振り部分だけ袷にすることにしました。



少々手間がかかりましたが、着付けると、袷の長襦袢を着ているように見えます。



居敷当も共布で付けることが出来ました。


    風薫るさらさらとよき裾捌き        仕立屋お吟

2019年4月17日水曜日

振袖を訪問着に


振袖を訪問着に直すよう頼まれました。



二十歳前に、呉服屋さんで気に入って、独断でさっさと買われたそうで、

お母さんもおばあちゃんもびっくりされたとか。

きりっとした浅葱の地色に、淡いピンクの手毬と桜と菊が描かれています。

結婚されて、こんど友人の結婚式に招かれたので、

訪問着に直して着て行かれるそうです。

着物姿での友人の参列は、なによりの祝福になりますよね。

将来、女の子が生まれたら、また振袖として着せたいということで、

切り落とさずに無双仕立てにします。



このように、裏地も表地で仕立てるのが無双仕立てで、また長い振袖に戻せます。



振袖の下半分が新たに袖になりましたが、違和感のない柄ゆきで、ほっとしました。

また振袖に戻る日まで、いろんな場面でお披露目してほしいものです。


       春風を入れて振袖畳みけり      仕立屋お吟






    

2019年4月9日火曜日

裄と袖丈直し



着物好きの方で、裄や袖丈がまちまちで困っていらっしゃる方は多いと思います。

裄と袖丈のお直しを数枚頼まれました。

その中の一枚をご紹介。ピンクの訪問着です。



まず袖を外します。

身頃と袖に、糸で袖付けの印を付けておくのが大切です。

かすかに湿らせた絹布をあてて、長年の折り目を消しつつ、

袖丈や袖巾を直して、布団に2日ほど敷きのしします。



ご希望のサイズになりました。

折り目はうっすら残っていますが、よほどじろじろ見られないと分からないでしょう。


        入学す母の着物のさくら色       仕立屋お吟