2020年3月20日金曜日

道中着の丈伸ばし


道中着の丈を伸ばすよう頼まれました。



蒔き糊と友禅染の絵羽の道中着です。

手触りから、衿の縫い代がたっぷりあることが分かったので、お受けしました。



衿の下半分をほどいたところ。

15㎝丈を伸ばせることが分かりました。



15㎝丈を伸ばすには、30㎝の胴裏を継ぎ足さなくてはなりません。

表地は裏にかなり返っているので、余裕があります。



出来上がりました。

15㎝長くなると、ずいぶん印象が違います。


        春袷十ほど若く見られけり      仕立屋お吟


2020年3月16日月曜日

四つ身の揚げ


七五三の撮影用に四つ身の揚げを頼まれました。

近年、年中七五三の撮影があるようです。

スタジオではなく、我が町なら、倉敷の美観地区あたりで。



唐子の地模様のある白生地から染められたそうです。

朱色のぼかしと緑の唐子の可愛らしいこと。

お母さんも十歳まで着られたそうです。

着物が喜んでいます。



七歳用に、幼すぎずおませになりすぎない位置で揚げをしました。

来月の撮影が楽しみです。


      七歳の着物にさくら咲きみちて    仕立屋お吟



2020年3月12日木曜日

袷を単衣に


袷の訪問着を単衣に直すよう頼まれました。

袷の状態の写真を撮り忘れましたが、

ほどきとふかしに出しました。



仕立てやすく真っ平になって帰ってきました。

要らなくなった胴裏は、新たに仕立てる色不祝儀に使います。



小花の刺繍がたくさん施されているので、模様を合わせてしるしをつけるところ。



単衣でも、袖と衿と掛け衿は2日ほど敷きのしします。



単衣の訪問着に生まれ変わりました。

春らしいごく薄い青、瓶覗色(かめのぞき色)です。

藍瓶にちょっと浸けただけの色の意からきています。



瓶覗てふ色縫ふも弥生かな      仕立屋お吟


2020年3月5日木曜日

結城紬


結城紬の仕立てを頼まれました。



桜の季節にぴったりな、淡い色彩の織と染めの反物です。

こういう追っかけ柄は、衽と衿にどちらの柄を使うか、依頼者さんに決めてもらいます。



衿に薄紫の染め部分を持ってくることにしたので、

絣模様の方が衽になりました。

衽のしるしを付けているところ。



袖と地衿と掛け衿は、縫って折って2日ほど敷きのしします。



とても針通りよく、さらりと仕上がりました。

八掛けも淡い色です。

          初花に間に合はせんと紬縫ふ      仕立屋お吟





2020年3月2日月曜日

身丈伸ばし


袷の身丈伸ばしは、部分直しではできなくて一から縫い直すことになりますと、

ずっとお断りしていたのですが、

ひょんなことから挑戦することになりました。



裄はたっぷりあるのに、身丈の短い訪問着です。

身長167㎝の人用に、14㎝伸ばします。

内揚げも、衽の縫い代も充分あることを手触りで確かめました。

裏は足りないので継ぎ足します。



衿の下半分をほどいたところ。

ここから中をひっぱりだして伸ばします。

先の見えないトンネルに入る気分です。

頭を使っていると、時間を忘れて夢中になりました。



左半身が伸ばせました。

出口の明かりが見えました。



無事、14㎝伸ばせました。

不可能だと思っていたことが可能になって、とても嬉しいです。


仕立屋も日々勉強や燕来る      仕立屋お吟