2023年5月7日日曜日

大島紬の単衣仕立て

 大島紬の単仕立てにかかります。


小粋な市松模様です。

衿裏・広幅いしき当て・背伏せ布を添えて持って来られました。


反物の丈が少な目でしたが、背縫いの柄合わせは死守しました。

衽の柄合わせも死守しました。

なんと掛け衿の柄も合わせております。
よく見てください。
広衿の端っこ、胴裏を継ぎ足してあります。
着付けたら見えないので大丈夫です。
これは、並幅を三等分して地衿と掛け衿を捻出するという、
変則的な裁ち方をしたためです。
熟考に熟考を重ね、長身の方ですが、ご希望サイズに仕立て上がりました。

   大島の紬つるりと夏来る   仕立屋お吟



2023年5月1日月曜日

黒留袖を羽織に

 黒留袖を羽織に仕立て直します。


裾模様を活かす仕立て直しですから、

否が応でも、上部を切り離さないとなりません。


切り離した部分は、羽織の返りになるよう継ぎ足します。

紋のある袖は使えませんので、八掛を袖山で継ぎ合わせて袖をつくりました。

大波の柄の染められた八掛を、右の後ろ袖に持ってくるのは、依頼者さんのご希望です。


背縫いの柄はぴったり合わせることができました。


まちは、衽の裾回しを使いましたので、

黒い無地で柄が寸断されるのをやわらげることができました。


上前の衽と下前の衽の柄がよい位置に来るよう、熟考して衿をつくりました。


返りには、紋があったり、継ぐ位置が裾ギリギリだったりで、苦心の跡が見られます。

近々、おめでたい行事や観劇などにお召の予定だそうで、仕立屋冥利に尽きます。

     お能観に春のなごりの黒羽織    仕立屋お吟





2023年4月22日土曜日

市松模様の単衣仕立て

単衣の仕立てに掛かります。


あんず色の淡い市松模様です。


袖と地衿をつくって敷きのし。


掛け衿を柄合わせしました。



袖も柄合わせしました。



背縫いと衽の柄合わせは、市松模様では当然です。
丈の長い反物だったため、
柄合わせが思い通りに出来ました。

新緑の中で映えることでしょう。

長唄の稽古単衣のあんず色    仕立屋お吟





 

2023年4月6日木曜日

胴抜き仕立て

 胴抜きの仕立てに掛かります。


東京の娘さんを訪ねた折に、ふらっと入った呉服屋さんでみつけた一反の紬。

大人の買い物ですね~。

八掛は、ネットでみつけた、四つ葉のクローバー柄です。


バチ衿がお好みなので、つくって敷きのし。


八掛だけ表にくけると糸目が見えるので、

ご希望に添い、胴裏も少し継ぎ足して、おはしょりに隠れる位置でくけました。


背縫いのところだけ柄合わせしています。

年明けから預かっていたのに、四月の仕上がりになってしまいました。

でも一回くらいは着ていただけるかな?

   八掛の萌黄ちらりと春しぐれ   仕立屋お吟



2023年3月19日日曜日

紋付羽織

男物の紋付の羽織の仕立てにかかります。


 神主さんの羽織です。

交織物なので、染め紋は無理ということで、刷り込み紋となっています。

刷り込み紋は、折ったところの染料がぱりっと折れるので、

紋合わせに細心の注意が必要です。


羽織丈98㎝までなら、へら台での作業が可能。

それ以上は、床での作業となり、身体がややきついです。


仕上がりました。

男物は袖が付け詰めなので、突っ張らないよう工夫します。

      新調の紋付届く花の宮   仕立屋お吟