2026年9月2日水曜日

羽織の丈伸ばし

 小柄だったお祖母さんの羅の羽織と夏紬の長着から、一枚の長羽織をつくってほしいと頼まれました。


羅の羽織の透け感が魅力的な上、残布もあり、

身巾の直しがいらないので、

これを最大限に生かす仕立てに決めました。



左右の袖に、夏紬を継ぎ足し、



右後ろに、夏紬を継ぎ足し、



左前に、夏紬を継ぎ足しました。



衿とまちと左後ろと右前には、羅の残布を継ぎ足しました。

お洒落で晩年まで着物を誂えていたお祖母様、

草葉の陰から喜んでくれていると思います。

高校生まで日本舞踊を叩きこまれた依頼者さん、

しゃきっと着こなしてくださるでしょう。

    日舞漬けの日々もありしと夏羽織    仕立屋お吟

 



2026年7月6日月曜日

一回り大きく

 絽の付下げを一回り大きく直します。

おはしょりに隠れる部分に足し布をしますので、
まずは、着物を真っ二つに切り離します。

袖巾をいっぱいに出してもまだ足りないので、
前身頃の縫い代から、細長い布を捻出して、継ぎ足します。
あまり目立ちません。
しっかり敷きのし。
身丈も身巾も裄もご希望サイズになりました。
お茶会では、ざぞかし堂々と楚々と振舞われることでしょう。
    うすものを着て一番の力持ち   仕立屋お吟


2026年5月10日日曜日

小千谷縮

小千谷縮の仕立てにかかります。


 麻100%の小千谷縮。縦糸と横糸をうまく染め分けて、

こんな小粋な格子に織りあがっている。大きな格子なので、きっちりと格子がずれないよう柄合わせしたい。残布が50㎝でもあれば出来そうだが、さてどうなりますやら、、、

大きな格子の小千谷縮を、大きな格子という雰囲気を壊すことなく仕上げることが出来た。ずれると、ごちゃごちゃ感が出てくる気がする。60㎝ほど残布があったので、工夫して柄合わせをした。この格子の場合、真っ白の部分が印象的でいい仕事をしているので、

上前の胸元に真っ白の四角が来るよう頑張った。

肌に着て上布味はふ一と日かな




2026年4月1日水曜日

訪問着を道中着に

 袷の総絞りの訪問着を道中着に直します。

裾の柄を活かすことも、裾を切り落としてすっきりした柄にすることも出来ます。




裾の柄を活かした場合
裾を切り落とした場合
依頼者さんは、裾の柄を活かすのをご希望だったので、
胸から上を切り落として、
肩山で継ぎました。
総絞りはふわっとしすぎるので、
身頃の返りは少なく、
衿裏も共布でなく、胴裏にしました。
「日本一の桃太郎」柄の羽裏がたっぷり見えます。

春愉し脱げば羽裏にももたらう   仕立屋お吟













2026年2月4日水曜日

羽織を四つ身に

 羽織を四つ身に仕立て直します。


幼馴染Tの、生きていらしたら120歳のお祖母さんが、二十歳のTのために仕立てた羽織です。

Tが自分でほどいて、五歳の孫のために四つ身に縫ってほしいと持ってきました。

お祖母さんの娘の娘の娘の娘の着物になります。

女系五代の物語です。


四つ身の細い衿と大きな丸みの袖を縫って敷きのし。


羽織の前身頃が、四つ身の後ろ身頃になっています。

揚げをして、可愛い五歳の絞りの着物になりました。

雛祭りに、女三代が着物を着るそうです。

   雛の日に着せる着物の縫ひあがる    仕立屋お吟


T

2025年12月6日土曜日

身丈が足りない時

洗い張り済の紬の仕立て直しを頼まれました。

大切な方の形見の紬です。


身丈が10㎝足りないので、洗い張り済の紬用八掛を、おはしょりに隠れる部分に継ぎ足しました。

継ぎ足し部分がごろごろしないよう、薄手の布を使います。


掛け衿がとても短かったので、地衿を継ぎ足して、なんちゃって掛け衿にしました。

少し残った衿の布は、寸足らずの下前のおくみに継ぎ足しました。

織り糸の色目も手触りも素晴らしいので、「いいものをもらわれましたね」と添えてお送りすると、「娘さんから、久米島紬だと渡されましたが、久米島紬はコカコーラのような色ですよね?」と依頼者さん。

で、図書館で調べると、このような記述あり。

 「久米島紬の基本になる色は、黒褐色・赤茶色・黄色・鶯色・灰色の5色で、すべて島の植物から生み出される自然の色である。」

依頼者さんの紬は、黄色・鶯色・灰色あたりの色が混じっているので、二人の間で、久米島紬ということにしましょうと、意見がまとまった(笑)。

     冬うらら珊瑚の海の色の布   仕立屋お吟



2025年10月27日月曜日

継ぎ足しの単衣訪問着

 洗い張り済の、紫の美しい訪問着を仕立てます。

長身の方なので、布が足りません。

袖巾に割を入れたいのですが、衿からも縫い代からも布が捻出できないので、

依頼者さんの希望で、下前の衽を使うことにしました。

地模様のある布なので、割が目立ちません。
下前の衽には、菊の地模様のあるちりめんをチョイス。
足りない身丈にも、おはしょりで隠れる位置に同じちりめんを継ぎ足しました。
落着いた華やかさのあるお茶人の訪問着の出来上がり。

お点前の袖のむらさき菊日和   仕立屋お吟












2025年9月22日月曜日

単衣の大直し

 お祖母さまの形見の単衣の身丈・身巾・裄・袖丈を出します。


袖を外し、衿先をほどき、裾から90㎝のところで、切り離します。



脇の所で身巾を出し、別布の薄地の紬の横布を使って継ぎ足し、
縫い代を折りふせ縫いで整えます。
茶道のお稽古にどんどん着てくれそうです。

渋色の祖母のかたみを風呂名残  仕立屋お吟








2025年6月12日木曜日

紅型

 紅型の仕立てに掛かります。

この紅型、依頼者さんのなじみの骨董屋さんが、新潟の養蚕農家の蔵から古道具の箱と一緒に掘り出してきたものだとか。
現在のその農家のお嫁さんの、二代前のお嫁さんの、袖を通していない着物だそうで、虫干しの度に行李の蓋をあけて、風を通してきたので、色移りはあるが染みはなかったそう。
依頼者さんは、買ったのち悉皆屋へ解きのしに出し、気になる色移りの部分に和布用の絵の具で補色し、はるばる東京から倉敷の私の元へ送ってみえました。
しかし、補色部分のクリーム色はかなり目立ちます。(左側の縦線)
先ずは、袖と衿をつくって敷きのし。
袖付け側は仕方ないにしても、袖口の変色は隠れるよう、深く縫いました。
衿は、変色が隠れるよう、狙いを定めてきれいな部分でつくりました。

衽縫いや衿下にも変色が出ないよう工夫したので、前巾と衽巾は希望サイズとは微妙に違います。

仕立てて驚いたのは、ふつうの和服と違って、紅型はどこもかしこも衿までも左右対称であること。
ザ、南国♪という感じです。

身丈も足りないので、おはしょりで隠れる位置に足し布をしました。
あとは、変色部分に色を加えるかどうか思案中の依頼者さんへバトンタッチです。
依頼者さんがとても喜んでくださったので、仕立屋冥利に尽きます。
   縫ひあげて吊るす紅型南風    仕立屋お吟






2025年3月20日木曜日

久留米絣

久留米絣の仕立てにかかります。



人間国宝、松枝哲哉さんの作品の様です。

ほどかれて洗い張り済です。

繊細な絣紋様に、さぞかし括りや染めの作業が大変だったろうと想像します。


袖とバチ衿をつくって敷きのし。


前に縫われていたのと同様に、


目立つ絣を横一列に揃えました。

雪国の山々に映える、辛夷の白い花のような絣です。

    魚は氷に上りよき織りよき絣   仕立屋お吟




 

2025年2月7日金曜日

胴裏交換

一つ身の傷んだ胴裏を、新しい胴裏に取り替えます。 


アンティークの大胆な柄が可愛らしい二枚の一つ身です。


傷んだ胴裏を外して、寸法を測り、同じものを新しい胴裏でつくります。


裏地が新しくなると、表まできれいになった気になります。



一枚は、袖の裏も新しくしました。

袖口布を袖巾から捻出するという、特殊な縫い方がされていたので、

右袖のみほどいて、左袖を見ながら同じに縫いあげるという、珍しい縫い方をしました。

達成感があります。

   赤に黄に絹染められし春の雪     仕立屋お吟




2024年12月28日土曜日

男の子の羽織

女物の羽織をほどいて、男の子用に仕立てます。


 表は地味な格子の紬ですが、

裏が浮世絵調の小粋な色柄です。


お袖と細い羽織衿を敷きのし。


凛々しくも、隠れたお洒落の羽織の出来上がり。

    冬ぬくし羽織の裏の浮世絵も    仕立屋お吟


2024年12月2日月曜日

洗い張りの仕立て

忙しかったり写真に残し忘れたりして、更新が遅くなりました。

袷の紬を洗い張りしたものを単衣に仕立てます。 

鼓の他は、破魔矢・菅笠・糸巻にも見えます。
水を通った紬はやわらかく縫いやすいです。

袖と衿をつくって敷きのし。

洗い張りのものなので、柄合わせは限られますが、
紬は表裏使えるので、前後左右表裏組み合わせて、一番良い柄合わせにしました。

雪に縫ふ鼓づくしの紺絣      仕立屋お吟




2024年9月5日木曜日

訪問着を羽織に

 夏羽織を仕立てます。


絹麻の訪問着をほどいて、裾の柄を活かして羽織に仕立てます。

肩山はつぐことになります。


後ろ身頃の手描きの白鷺と杭と波が下になりすぎないよう、通常、返り15㎝のところ、10㎝にしました。


衿にちゃんと白鷺が出るよう、かなり考えました。

前身頃の白鷺は恥ずかしがり屋で見え隠れしています。


とても個性的で涼しげな一枚の出来上がり。

実は、訪問着のときの胸元に、白鷺のいない杭と波だけの柄があり、

腰から上が残布となったので、ちゃっかり頂いて、仕立屋お吟のフレンチスリーブのブラウスにしました。和裁仲間がミシン縫いしてくれました。

苦心して仕上げたこの夏羽織、嫁に出す心境だったので、物語性のあるブラウスとなりました(笑)。


     白鷺も波も手描きや夏羽織   仕立屋お吟




2024年8月24日土曜日

本裁でこども用

 五歳の子に仕立てます。


ちりめんの小紋です。

本裁にすれば、中学生くらいなれば、大人用に仕立て直しできます。


2尺袖と棒衿を敷きのし。

掛け衿も、大人用の92㎝にして、折りこんで付けます。


上前の衽の裾が華やかになるよう柄合わせしました。

大人だと、衽のポイント柄は、もう少し上になります。


上前の衿元も華やかに。


着付けるととても可愛いと思います。


長襦袢は、半衿を付けて、こんな置き方で敷きのしします。

   新調の五歳のきもの祭笛   仕立屋お吟