お母さんの小紋の丈を伸ばすよう頼まれました。
渋いピンクに地模様のある、色無地に近い品のいい柄です。
私の母が1000円でほどくので、一から縫い直します。
娘さんはお母さんより10㎝も高く、内揚げもなかったので、別布を足すことにしました。
おはしょりの内側に隠れる位置を想定して、えいやあっと鋏を入れ、別布を継ぎ足して、しるしをつけるところです。
縫い直しは、破れや汚れや寸足らずが見つかるので、先を先を読まねばならず、かなり気を使います。
それだけに出来上がった時の達成感はひとしおです。
お母さんの小さな着物が大きく蘇りました。
別布は、ばっちりおはしょりに隠れます。
お茶事に着られるそうです。
仕立て屋冥利に尽きます。
春を待つ小紋の色でありにけり ひとみ