2018年11月23日金曜日

産着を七五三に


産着を七五三用に直すよう頼まれました。



産着は平袖といって袖に丸みがないので、丸みを作ります。

袖口下も縫っていないので、縫い合わせます。



袴からのぞかないように、腰揚げは多めにつまみます。

肩揚げは、肩幅より小さくします。

産着には、背中に立派な模様があるので、羽織はいりません。

袴をつけると凛々しい三歳の出来上がりです。


生れしはついこの間七五三     仕立屋お吟



2018年11月17日土曜日

身巾直し


色無地の身巾を広げるよう頼まれました。

細かった若い頃の着物で、年輪を積まれると、どうしても身巾が足りなくなります。



脇で2㎝出したところ。長年の折り皺がくっきり出ています。

この皺を取るには、

正絹の胴裏を濡らして絞り、タオルで水気を取ったのち、さらにコテ(アイロン)をさっとかけたものを、

皺のところに当てて、そっとコテをかけます。



このように、皺はほぼ消えます。

畳み皺がついてお困りの方、どうぞお試しくださいませ。

くれぐれも目立たない部分から始めてくださいませ。


      春著縫ふ幸せ太りせし人に       仕立屋お吟



2018年11月11日日曜日

結城紬


結城紬の仕立てを頼まれました。

胴裏と八掛をまだ用意されていなかったので、

和裁の仲間が日傘作りに表地を使い、保管しておいた裏を安くお分けすることにしました。

未使用の着物だったので、新古品と言えましょうか。

八掛の色はぴったりです。



着れば着るほどやわらかくなってゆく結城紬です。




          冬ぬくし結城紬をざつくりと      仕立屋お吟





2018年11月6日火曜日

裾の破れ


よく着物を着られる方から、裾の破れを直すよう頼まれました。



ご覧のように、かなり破れています。

ここまで着てもらえると、着物も本望でしょうね。

しかし、身体になじんでいる紬なので、まだまだ着たいとのこと。

裏地の背縫いの下の方をほどいて、ひっくり返し、3㎝ほど短く縫い、破れたところを切り落とします。

裾袷を微調整して、裾を整えたら出来上がり。



新品のように蘇りました。

袖付けや身八つ口もほつれていたので、計六ヶ所繕いました。


        仲人のお世話も少し秋袷      仕立屋お吟











2018年11月2日金曜日

羽織の仕立て直し


生きていらしたら120歳のお婆ちゃんの羽織を仕立て直すよう頼まれました。

山繭で織られているそうです。霞の文様です。肩裏はかなりもろくなっています。



そおっと置いて、しるしをつけるところ。



お婆ちゃんが、孫子にも着られるようにと、縫い代をたっぷりとって縫ってあるので、羽織丈90㎝に仕立てられます。



とにかく肩裏がもろくて、針すごきをするのにも気を使いましたが、出来上がりました。

山繭は雑木の葉も食べているそうです。野趣味あふれる風合いながら、艶があります。そして素晴らしい軽さです。

お孫さんの七五三のお祝いに付き添われるそうです。

女系五代の物語です。


         七五三着物好きなる祖母も添ひ      仕立屋お吟