2018年6月28日木曜日

近江上布


六月は盛夏へ向けての仕立てで、大忙しでした。

近江上布を立て続けに六枚。縫っていて皺になりますが、神経質にアイロン仕上げはしません。

「作れる分だけを丁寧に作り上げる、大量生産にはない職人の手仕事の良さを追求」している呉服屋さんからの頼まれ物です。



お袖を縫って布団に敷きのしするところ。長身の男性の方で裄がとれないので、足し布をしています。

仕立て上がると、再び敷のしします。毎日、何かしら敷のししています。ですから、私は毎日広縁に布団を干します。

灰桜、濃緑、源氏鼠、錆鼠、、、と縫ってきました。化学染料ではない顔料で客の好みの色に染めるそうです。

これは、錆鼠。添えている反物は山葵色。これが縫い終わると、一息つけます。


     上布着て京は男もはんなりと      仕立屋お吟





2018年6月21日木曜日

袷の小紋


袷の小紋の仕立てを頼まれました。



黒と鈍色の大きな縞に細い臙脂が縦に一本織りこんであります。八掛も黒。粋です。



衽に臙脂を持ってきて、衿を黒にするか、




衿に臙脂を持ってきて、衽を黒にするか、依頼者さんと相談した結果、




後者を選びました。やはり、この反物の命である臙脂を顔に引きつけて、正解だったようです。


        黒といふ色の華やぎ夏灯          仕立屋お吟




2018年6月11日月曜日

単衣の身巾直し


単衣の身巾直しを頼まれました。



リバーシブルになっていて、表は閉じた扇子、裏は番傘。裾や袂からちらりと粋が見えます。



身巾を2㎝詰めます。全体で8㎝細めになります。お袖を外して、もの差しの角度で詰めるので、胸回りも細めになります。



この方は細めで170㎝と長身なので、身巾と肩巾の差がとても大きくなり、脇の縫い代のしまつが攣って見苦しくなります。

そこで、写真のように切り目を入れ、細かくかがりました。



藍と白だけの木綿は、大人の味ですね。

この方は薬剤師さんで、「白衣はもう飽きました。」と仰っていました。


    藍浴衣白衣を脱げばどなたかと      仕立屋お吟



2018年6月4日月曜日


絽の仕立てを頼まれました。



桔梗の地模様によろけ縞。



しるし付けをしようと、ヘラ紙に置くと、耳が攣っていることに気づきました。布地が波打っています。



必要な個所に、切り目を入れます。ひっぱって耳を伸ばします。
切り目を入れてはいけない個所もあるので、慎重に。



無難に仕上がってほっとしています。もうすぐ絽の出番ですね。


        縫ひあげし絽や朝まだき海の色      仕立屋お吟