2020年4月27日月曜日

草木染


単衣の仕立てを頼まれました。



「草木下染め」とあります。

藍を使っているようです。



とてもさらりとして素直な絹ですが、

ぱりっと仕上げるため、いつも通り、袖と地衿と掛け衿は二日は敷きのしします。



背やお尻に同じ柄が並ばないよう、柄合わせをしました。



上前のおくみの膝あたりに、ポイント柄をもってきます。



左の衿元も引き締まるよう、柄をもってきました。

長身の方で残り布は出ませんが、その中でも最良の柄合わせを考えるのは、楽しい作業です。


    藍染へ針すいすいと夏隣      仕立屋お吟



2020年4月22日水曜日

麻の着物


麻の着物の仕立てを頼まれました。



ごく淡いむらさきです。



背伏せ布も力布も共布で取れました。



透けている麻なので、広幅のいしき当てをつけます。



仕上がりました。

これに友禅染が施されます。

麻なので、縫っているとどうしても皺ができます。

しかし、仕上げは、敷きのしのみにしておきます。


      その皺も麻の着物でありにけり     仕立屋お吟



2020年4月18日土曜日

長着を羽織に


袷の長着を羽織に仕立てるよう頼まれました。



楓の地紋のあるちりめんに、薔薇の柄が施されています。

依頼者さんがご自分でほどいて洗われました。

肩裏はネットで買われました。



長着を羽織にする場合、衿はおくみを継いで作ります。

羽織の衿は、一番に作って敷きのしを数日します。



羽織丈105㎝と長いので、へら紙を継ぎ足して居間の床でしるしつけをします。

いいストレッチになります。



仕上がりました。

肩裏が足りないので胴裏を足してあります。

薔薇は秋薔薇も冬薔薇もあるので、秋から春までかろやかに着られそうです。


薔薇香るころやシルクを縫ひあげて    仕立屋お吟





2020年4月15日水曜日

有松鳴海絞り


有松鳴海絞りの仕立てを頼まれました。



しじら織りのお客さんの三反目です。



裄が長く腰回りの小さい方なので、やはり前身頃の脇の縫い代を、



袖巾に足します。

鳴海絞りも、違和感はありません。



鳴海絞りの浴衣は、針通りがよく、すぐ仕上がりました。

背とお尻のあたりの柄がダブらないよう気を付けて裁っています。



左の胸元や掛け衿にもよい柄を持ってきました。

上前のおくみの膝あたりにもポイント柄を持ってきました。

おくみの裾に大きな柄がくると重くなるので、気を付けています。

ご夫婦でなかよく取りに見えるので、お会いするのが楽しみです。


      肌に添ふ鳴海絞りの藍浴衣     仕立屋お吟





2020年4月10日金曜日

おうち着物


先日仕立てたしじら織りの二反目です。



二箇所にかぎざぎの傷があります。

どこへ持ってゆきましょうか。



そして、裄が長く腰回りの小さい方なので、前身頃の脇の縫い代を切って、



袖に足します。



さらに、丈が短いので、変則的な裁ち方をします。

縦方向に布を切ったときは、裁ち屑を払います。

ダイソンの掃除機も大活躍。



かぎざぎの一つは、衽の縫い代に入りました。



もう一つのかぎざぎは、衿の縫い代に。



すっきりと仕上がりました。

おうち着物として大活躍してくれることでしょう。


家事もまた愉し好みの単衣着て      仕立屋お吟



2020年4月7日火曜日

着物を半てんに


ウールの男着物を半てんに仕立てるよう頼まれました。

以前、そのウールの羽織の方を半てんに直して差し上げたのですが、

今回は息子さんにも欲しいという依頼です。



着物は単衣でしたので、手持ちの洋服の裏地をお分けしました。

袷に仕立てるので、袖口布をつけるところ。

ウールは厚地なので、袖口の表と裏で内輪差をつけます。



3~4㎜の内輪差をつけたことで、

このようにだり張りなく袖口が仕上がりました。



ポケットは、仲間にミシンでつけてもらいました。

親子でなかよく着てくれることでしょう。


    青饅や子はだんだんと父に似て     仕立屋お吟




2020年4月4日土曜日

道中着


袷の小紋を道中着に仕立てるよう頼まれました。

近所のお茶の先生です。



きれいに洗い張りされています。

羽裏も、この小紋の胴裏を利用します。

この先生に教えてもらったクリーニング屋さんに、

私もお世話になっています。



道中着の衿を作るところ。

衽と地衿と掛け衿をつなぎ合わせます。



あと、紐をつけると出来上がりです。

御召は織がしっかりしているので、道中着にぴったりです。


春袷若き弟子らに慕はれて        仕立屋お吟





2020年4月1日水曜日

浴衣


浴衣の仕立てを頼まれました。



しじら織りです。

裄が長く、腰回りのほっそりしている方なので、



仕上がると隠れる、前身頃の脇の縫い代を切り落として、



袖に継ぎ足しました。



身巾と肩巾に、6㎝以上の差があるので、脇の縫い代がうまく収まりません。

したがって、切り目を入れ、



すっきり落ち着かせました。



この反物は丈が短く、通常の衿の裁ち方ができません。

衿の真後ろで継いでいます。しかも、なんちゃって衿(掛け衿があるように見せかける)です。

三つ衿芯は、透けるので共布を使いました。



袖は、かなり斜めに付きました。



依頼者さんのご希望の寸法に仕上がりました。

おうちでラフに着られるそうです。

三反預かりましたが、すべて、とても仲の良いご主人の見立てです。


       単衣着る夫の見立てのしじら織      仕立屋お吟