2023年5月30日火曜日

大人の羽織を子供用に

女物の羽織を男の子用の羽織に仕立て直します。


 依頼者さん自ら、ほどいてアイロンかけされました。

大人用は10㎝の前落しがありますので、

子ども用には、背縫いを深くして、衿肩まわりを小さくします。

細い衿と袖をつくって敷きのし。

ありきたりでない男の子の羽織の出来上がり。
   きもの着て凛々しき五歳風薫る    仕立屋お吟




2023年5月21日日曜日

小紋を四つ身に

 若いころの小紋をお孫さんの四つ身に仕立て直します。


四つ身仕立ては、後ろ身頃を7.5㎝ほど切り落とし、前身頃は、衽を兼ねます。


細い衿と丸みの可愛い袖をつくって敷きのし。


お祖母様の小紋がこんなに小さくなりました。


揚げをしたら、さらに可愛く。

秋祭りやお正月に活躍してくれそうです。

   着物など似合ひさうな子さくらんぼ   仕立屋お吟



   

前身が

2023年5月7日日曜日

大島紬の単衣仕立て

 大島紬の単仕立てにかかります。


小粋な市松模様です。

衿裏・広幅いしき当て・背伏せ布を添えて持って来られました。


反物の丈が少な目でしたが、背縫いの柄合わせは死守しました。

衽の柄合わせも死守しました。

なんと掛け衿の柄も合わせております。
よく見てください。
広衿の端っこ、胴裏を継ぎ足してあります。
着付けたら見えないので大丈夫です。
これは、並幅を三等分して地衿と掛け衿を捻出するという、
変則的な裁ち方をしたためです。
熟考に熟考を重ね、長身の方ですが、ご希望サイズに仕立て上がりました。

   大島の紬つるりと夏来る   仕立屋お吟



2023年5月1日月曜日

黒留袖を羽織に

 黒留袖を羽織に仕立て直します。


裾模様を活かす仕立て直しですから、

否が応でも、上部を切り離さないとなりません。


切り離した部分は、羽織の返りになるよう継ぎ足します。

紋のある袖は使えませんので、八掛を袖山で継ぎ合わせて袖をつくりました。

大波の柄の染められた八掛を、右の後ろ袖に持ってくるのは、依頼者さんのご希望です。


背縫いの柄はぴったり合わせることができました。


まちは、衽の裾回しを使いましたので、

黒い無地で柄が寸断されるのをやわらげることができました。


上前の衽と下前の衽の柄がよい位置に来るよう、熟考して衿をつくりました。


返りには、紋があったり、継ぐ位置が裾ギリギリだったりで、苦心の跡が見られます。

近々、おめでたい行事や観劇などにお召の予定だそうで、仕立屋冥利に尽きます。

     お能観に春のなごりの黒羽織    仕立屋お吟