2018年9月27日木曜日

付下げ


付下げの仕立てを頼まれました。

新潟は十日町の吉澤の友禅です。



今までにたくさんの訪問着や付下げを縫ってきましたが、
しなやかさや針通りのよさや皺になりにくさが群を抜いています。
しっかりした浜ちりめんです。



黒に近い茄子紺の地色に、雪輪の中の七宝や亀甲や鹿の子文様。

古典文様を大切にしつつ、洗練された絵付けです。



依頼者さんは、俳句つながりのお方です。
さて、どこに着て行かれるのでしょう。


       秋袷ちよいと俳句もたしなみて      仕立屋お吟





2018年9月19日水曜日

有松鳴海しぼり


172㎝という長身の方より浴衣の仕立てを頼まれました。

絞りで巾と丈の長いものを、苦労して探されたそうです。



有松鳴海しぼりです。最高の肌触りです。絞りですから、このように、左の普通の巾のものより縮んだ状態で売られています。



洗い張り屋さんで、二度洗いと湯のしをして巾丈を出してもらったら、このように落ち着きました。

1㎝でも長い丈に仕立ててあげたいので、繰越揚げはつまみません。縫い代もぎりぎりに抑えて裁ちました。



なおかつ、左胸には華やかな柄を、上前の衽の膝辺りにもよい柄を、左の衿も寂しくならないように気配りします。



後ろ身頃をご覧ください。たとえば、お尻の部分に左右同じ柄がきては最悪です。そうならないように気をつけます。

着物は左右対称の柄を嫌います。残り布ゼロという条件でも、なるべく粋になるよう柄合わせをします。

なんとか身丈172㎝、裄73㎝の浴衣が出来ました。色白の依頼者さんにお似合いのことと思います。


       縫ひさしの鳴海絞りへ秋の風       仕立屋お吟









2018年9月12日水曜日

七五三の揚げ


七五三の揚げを頼まれる時期がきました。



流水に蝶の文様の可愛らしい着物です。

揚げをほどいて仕舞われていたので、皺が無くて助かります。



七歳なので、肩揚げも腰揚げもつまみ代は少ししかありません。

特に腰揚げは下すぎると野暮ったくなるし、上すぎると大人っぽくなりすぎるので、七歳らしい位置を見極めなくてはなりません。

こんな感じでいかがでしょう?


     大好きな母のお下がり七五三       仕立屋お吟