2018年10月27日土曜日

身巾を小さく


袷の小紋の身巾を小さくするよう頼まれました。

亡くなったお母様が着物好きで、タンスの肥やしにしておくのが忍びなくて、着付けを習いはじめられたそうです。

ところが大きすぎて、なんとも着にくい、、、ということで私のところにやってきました。



小紋ですが一つ紋があり、あらたまった場所に着てゆけそうです。



まず、袖を外します。身八つ口をほどき、裾もちょっとほどいてひっくり返して、2.5㎝脇縫いを詰めます。





ビフォーアフターです。2.5㎝×4=10㎝身巾が狭くなりました。

ついでに肩巾も1㎝小さくしたので、かなり着やすくなったと思います。


       直し着る母の形見の秋袷      仕立屋お吟



2018年10月21日日曜日

子どもの長襦袢


下の記事の七五三用の着物と一緒に、日本舞踊を習い始めたお姉ちゃんの長襦袢も頼まれました。

袷の着物をほどいて不要になった胴裏で仕立てるよう頼まれました。



胴裏だけでは白すぎるので、こけし柄の肩裏を振り布に使うことを思いつきました。



振り布をつけると、袷の長襦袢を着ているように見えます。



胴裏で長襦袢を作るのは初めてで、やや不安もあったのですが、羽衣のような軽くてしなやかな一枚となりました。

依頼者さんの発想に拍手です。

日本舞踊を踊るときに、すばらしい裾捌きとなることでしょう。


      七歳の日本舞踊に小鳥くる      仕立屋お吟



2018年10月15日月曜日

羽織を七五三に


お祖母さんの羽織から七五三の着物を作るよう頼まれました。

すでにほどいて洗い張りしてあったので、すぐ取りかかれます。



羽織の前身頃が、こどもの着物では後ろ身頃になります。



こけしの可愛い肩裏をそのまま使います。



羽織の面影を残した、子ども用に変わりました。

大島紬を融通の利かない才媛としたら、鹿の子絞りは偏差値の高いじゃじゃ馬娘。

せっかく付けたしるしが見えにくくて縫いづらいのですが、2、3ミリずれても布自ら修正してくれて、きれいに仕立て上がります。


       七五三鹿の子絞りは祖母のもの     仕立屋お吟






2018年10月11日木曜日

白大島


白大島の単衣の仕立てを頼まれました。

よろけ縞に蔓もの。しゃきっとして爽やかな反物です。



大島は耳の部分が広く、通常の背伏布では心もとないので、共布で作りました。
居敷当も共布が取れました。



織られて年数が経っていないので、やわらかくて衣擦れの音にも艶があります。




        衣擦れの音たてて縫ふ夜長かな     仕立屋お吟




2018年10月7日日曜日

袷を単衣に


お母様の袷の紬を、自分用に単衣に直すよう頼まれました。

薄地のはずの胴裏が厚地すぎて、着づらいとのことでした。

洗い張り屋さんにほどきと湯のしに出しました。



表地一枚になると、驚くほど軽くて、絹の光沢が感じられます。



袖と衿を縫った時点で、布団の下に敷のしします。ぱりっと仕上げるために、どんな着物でもこれは必須です。



手ざわりは結城紬に似ています。お母様にはかなり高価な買い物だったとか。これを着て、寄席や観劇にお出かけされることでしょう。

    
       秋冷のどこで織られし紬かな      仕立屋お吟









2018年10月2日火曜日

久留米絣


久留米絣の仕立てを頼まれました。

厚地の木綿は久しぶりです。



絣といわれて描くイメージとはかなり違い、素朴というより粋な感じです。



ざっくりした風合いなので、出番も多いことでしょう。


     膝に縫ふ久留米絣や秋深む      仕立屋お吟