2024年1月31日水曜日

振袖を訪問着に

振袖を訪問着に直します。


 袖下を切り落としたのでは、派手な柄が中途半端に残るので、

袖を作り直します。

左の前袖には大人しい柄のみ。

右の後ろ袖にも、大人しい柄のみ。
ごく普通の訪問着にしか見えません。
依頼者さんは、六年生の担任。
教え子達を送り出す卒業式に、袴の下に着られます。
きっと泣くでしょうね。
   教え子の卒業の日へきもの着て   仕立屋お吟



2024年1月19日金曜日

男物羽織

続いて、羽織の仕立てに掛かります。


 明るい色がお好きということで、やはり女物の昔の羽尺を選ばれました。

羽裏は、最近のもの、鳥獣戯画の柄です。

昔の羽尺は短いので、返りが少なくなります。

よって羽裏が身頃に取られて、片袖分が足りなくなるので、胴裏を使います。

昔の羽尺は巾も少ないので、袖に割り(つぎたし)を入れました。


割りに使う共布は、衿から捻出しました。

半巾になった衿には、着物の裏の金布を使いました。

片袖に使った胴裏も巾が足りないので、羽裏の端切れを接ぎ足しました。

こんなに継ぎ足し継ぎ足しで縫いあがった羽織ですが、

着るとほとんど分かりません。

むしろそのことを誇りに着ていただけたらと思います(笑)。

   御隠居が着物の師匠おでん酒   仕立屋お吟


2024年1月13日土曜日

男物

男物の着物の仕立てに掛かります。

男物はほとんどが地味な無地なので、明るい色のお好きな依頼者さん、

女物の紬を用意されました。


網代の柄の手触りのよい紬、利休色です。

袖と衿をつくって敷きのし。


男物の裏地は、金巾(かなきん)という、目の細かい薄地の木綿を使います。

裾のふきもこの金巾をのぞかせます。


袖口のふきは、共布を使います。

大阪への出張の足を延ばして、東京の下町から倉敷まで反物を持って来てくれた青年、

粋に着こなしてくれることでしょう。

   松過ぎの銭湯よろし居酒屋も    仕立屋お吟



 

2024年1月11日木曜日

道中着

道中着の仕立てにかかります。

長身の依頼者さん、着尺の反物を用意されました。

肩裏もたっぷり目にあります。

幅広の衿と袖を敷きのし。

上前の衿にブルーをという依頼だったので、上前の胸に描き疋田のような白を持ってくると、自然と柄合わせは決まる。

紐飾りはシンプルに。

遊び心のある肩裏がちらり。

   肩裏に波とうさぎや縫始   仕立屋お吟