振袖を訪問着に直します。
袖下を切り落としたのでは、派手な柄が中途半端に残るので、
袖を作り直します。
左の前袖には大人しい柄のみ。右の後ろ袖にも、大人しい柄のみ。
ごく普通の訪問着にしか見えません。
依頼者さんは、六年生の担任。
教え子達を送り出す卒業式に、袴の下に着られます。
きっと泣くでしょうね。
教え子の卒業の日へきもの着て 仕立屋お吟
振袖を訪問着に直します。
袖を作り直します。
左の前袖には大人しい柄のみ。続いて、羽織の仕立てに掛かります。
羽裏は、最近のもの、鳥獣戯画の柄です。
昔の羽尺は短いので、返りが少なくなります。
よって羽裏が身頃に取られて、片袖分が足りなくなるので、胴裏を使います。
昔の羽尺は巾も少ないので、袖に割り(つぎたし)を入れました。
割りに使う共布は、衿から捻出しました。
半巾になった衿には、着物の裏の金布を使いました。
片袖に使った胴裏も巾が足りないので、羽裏の端切れを接ぎ足しました。
こんなに継ぎ足し継ぎ足しで縫いあがった羽織ですが、
着るとほとんど分かりません。
むしろそのことを誇りに着ていただけたらと思います(笑)。
御隠居が着物の師匠おでん酒 仕立屋お吟
男物の着物の仕立てに掛かります。
男物はほとんどが地味な無地なので、明るい色のお好きな依頼者さん、女物の紬を用意されました。
網代の柄の手触りのよい紬、利休色です。
袖と衿をつくって敷きのし。男物の裏地は、金巾(かなきん)という、目の細かい薄地の木綿を使います。
裾のふきもこの金巾をのぞかせます。
袖口のふきは、共布を使います。
大阪への出張の足を延ばして、東京の下町から倉敷まで反物を持って来てくれた青年、
粋に着こなしてくれることでしょう。
松過ぎの銭湯よろし居酒屋も 仕立屋お吟
道中着の仕立てにかかります。
長身の依頼者さん、着尺の反物を用意されました。肩裏もたっぷり目にあります。
幅広の衿と袖を敷きのし。