2020年8月31日月曜日

袖丈直し


袖丈を一尺四寸に伸ばすよう頼まれました。



粋な縦縞の紬です。



裏返してみると、縫い代が充分あるので、袋縫いをほどかずに伸ばせます。

袖裏がないのに、八掛けの袖口布がついていますね。

胴抜きの袷仕立てです。

上半身と袖の裏をつけずに仕立てます。

暑がりの方に好まれます。



ご希望サイズに伸ばせました。



他にも四枚、同様に伸ばしました。

うち二枚は、縫い代が足らず、布いっぱいに出してあります。

秋のお出かけが楽しみですね。


        紬着て秋めく街の人となる       仕立屋お吟







2020年8月27日木曜日

塵除け


塵よけの仕立てを頼まれました。



レースの模様、交織ものです。

本物のレースが転写されたような、個性的な柄です。



裁つのに、背縫いをどう柄合わせするか悩みました。

これは、レースをぴたりと一直線に合わせた場合。

ちょっと、やりすぎ感があります。



レースをずらして置いてみました。

レースの繊細さが出たように思います。

こちらに決まりです。



袖に袖口布をつけて仕上げ、衿と共にしっかり敷きのしします。



着物衿のおくみ付きのつい丈の塵除けです。

前身頃からおくみにかけては、レース模様をほぼ一直線に柄合わせしました。

左の衿元もレース模様を合わせてみました。



花の紐かざりをつけました。



後はこんな感じ。

東京にお住いの依頼者さん、颯爽と大都会を歩かれることでしょう。


        美術展和服の人に隣りゐて     仕立屋お吟





2020年8月25日火曜日

裄直し


付下げの裄を3.5㎝伸ばすよう頼まれました。



袖の縫い代がたっぷりあったので、

袖で2.5㎝出し、しっかり敷きのししました。



あとは肩幅で1㎝だけ出せばよいので、身八つ口は触らず、袖付け位置から斜めに出します。



元の折目は、目立たなくなる程度に消せました。

晩秋の姪っ子さんの結婚式に着てゆかれます。

      秋燈や付下げの裄直しゐて      仕立屋お吟




2020年8月22日土曜日

七五三の揚げ


七五三の揚げを頼まれました。



産着です。

産着ですと、三歳の子にとって軽くて楽です。

すでに七歳の子に着せたようで、お袖に可愛い丸みがありました。

小柄な七歳だと、着れるんですね。



肩揚げと腰揚げが出来ました。

今月末、さっそく撮影があるそうです。

うちにも見えましたが、着る気まんまんの三歳でした。

    赤糸をもて肩揚げや秋初め       仕立屋お吟




2020年8月19日水曜日

追っかけ柄


単の紬の仕立てを頼まれました。



ツートーンカラーです。

追っかけ柄に仕立てます。



おくみに黒の無地を持ってきた場合。

おくみが淋しく、

衿と左胸の柄がうるさく感じられます。



おくみに柄を持ってきた場合。

おくみに渋い華やぎがでて、

衿の黒がきりっと見えます。

こちらに決まりです。



着物初心者さんなので、バチ衿にしました。

バチ衿もしっかり敷きのしします。



本格的な秋が待たれます。

冷房を止めて夜風に紬縫ふ       仕立屋お吟



2020年8月16日日曜日

身巾出し


単の身巾直しを頼まれました。



手触りがウールでもなく絹でもないという縞の単衣です。

シルクウールでしょうか。



脇で3.5㎝出しました。

肩幅との差がなくなって、縞がほぼまっすぐになりました。

体重が25㎏増えると、身長は変っていなくとも裄も1㎝くらいは出した方がよいので、

袖巾を出しました。



依頼者さんは、髪の毛が太くて、伸ばすと収拾がつかなくなるそうで、

グレーヘアーを少年のスポーツ刈りのように整えておられます。

都会的でイヤリングがお似合いでした。


     ボーイッシュなれど初秋を和服着て     仕立屋お吟




2020年8月13日木曜日

京友禅


袷長着の仕立てを頼まれました。



京友禅です。



袖と地衿と掛け衿をしっかり敷きのしします。



背とお尻に同じ縞が来ないよう柄合わせしました。



上前のおくみの膝あたりに目立つ縞を持ってきました。

上前のおくみの裾に重い縞が来ないよう気を付けました。

いつも渋い着物をつくられる依頼者さんに、

またシックな一枚が加わりました。


    秋来ぬと京友禅の濃むらさき      仕立屋お吟



2020年8月10日月曜日

身丈直し


浴衣の丈を短くするよう頼まれました。



プリント柄ですが、絞りかろうけつ染めに見えます。

身長150㎝~との表示だったそうですが、着付けてみると、おはしょりが長すぎます。



10㎝身丈を短くしたいので、8㎝切り落とします。



衿下寸法が10㎝短くなると、着付けたときに衿先が丸見えで不細工なので、

衿先もお直ししました。

19歳の大学一年生のお嬢さんの初めての着物です。

コロナ禍の淋しい大学生活を耐えていらっしゃいます。

藍染をなさるお母さんとお見えでした。


     藍浴衣母とドライブすることも      仕立屋お吟





2020年8月7日金曜日

色無地


袷の色無地の仕立てを頼まれました。



ぽこぽこと凹凸のある地模様があります。

お通夜や法事などへ着て行かれます。



落款の「幸」は、間違わないよう下前の衿先へ持ってきました。

花井幸子さんのデザインと色です。



この夏はひたすら単衣を縫っていたので、頭と手先がとまどっていました(笑)。


       おくやみへ秋の色なき着物着て     仕立屋お吟



2020年8月2日日曜日

浴衣


浴衣の仕立てを頼まれました。



くっきりとした朝顔と竹垣の柄です。

綿絽です。



1.5mほど変色部分がありましたので、それは除けて、

特殊な裁ち方をしました。

衿は裏に新モスを継ぎ足した上に、なんちゃって掛け衿です。

浴衣であってもしっかり敷きのしすると仕上がりがきれいです。



背中とお尻のあたりに同じ柄が来ないよう柄合わせをしました。



上前のおくみの膝あたりにポイント柄を持ってきました。

上前のおくみの裾に重たい柄が来ないよう気を付けます。

衿元は白っぽい部分を持ってきました。

なんとも粋な一枚です。

朝顔の染めくつきりと白浴衣     仕立屋お吟